デリバリー・宅配

中央線沿線で広がるフードデリバリー専門店という業態

8,240億円。外食と中食の市場調査をしているサカーナ・ジャパン(旧エヌピーディー・ジャパン)が2025年12月17日に公表した、2025年1〜12月のデリバリー(出前)市場規模の見込みです。前年比で2.0%増、コロナ前の2019年と比べると97.0%増とのことでした。

その市場の中で、アプリの一覧に聞いたことのない屋号がいくつも並ぶ理由の一つが、客席を持たないデリバリー専門店です。ゴーストレストランと呼ばれることの多いこの業態の仕組みと、客席がなくても要る営業許可、税率、それから注文する前に見ておきたいところ。知っておくと、アプリの画面の読み方が少し変わります。

客席のない店はどう動いているか

ゴーストレストランは、客席や接客の人を置かず、注文の受付から受け渡しまでをデリバリー(とテイクアウト)に絞った飲食店の呼び名です。クラウドキッチン、バーチャルキッチンという呼び方もあって、名前は統一されていません。

形は大きく二つです。営業している店が空いた時間の厨房で別の屋号を立ち上げる形と、はじめからデリバリー専業の厨房を構える形。一つの厨房から丼もの、麺類、弁当と違う屋号を並べて出すやり方もあるとされていて、アプリの画面からは同じ厨房だと分かりにくいと思います。

運営の形を四つに分けると

形 仕組み
間借り型 営業している飲食店の空き時間に厨房を借りて、別の屋号で出す
専用キッチン型 デリバリー専業の厨房を構え、複数の屋号を並行して出す
実店舗兼業型 通常の店舗営業を続けながら、デリバリー専用のメニューや屋号を加える
フランチャイズ型 本部が作った屋号とレシピを使い、加盟店が厨房を運営する

公的な分類ではなく、よく言われる分け方を並べたものです。どの形が良い悪いという話ではありません。画面に出てくる店の背景にはこのくらいの幅がある、と知っておくだけで十分です。

数字で見る2025年

項目 数字
2025年1〜12月のデリバリー(出前)市場規模 8,240億円の見込み
前年比 2.0%増
コロナ前の2019年比 97.0%増

同社によると、外食(イートイン)が成長する中で、デリバリーの売上は2024年に一度減り、2025年に再び増えました。一度落ちて戻った、という形です。

市場規模の数字は、何を「デリバリー」に含めて集計したかで変わります。ほかの数字と並べるときは、集計の範囲まで見ておくと混乱しません。

厨房があるなら許可が要る

客席がないから許可なしで作って売れる、ということにはなりません。食品衛生法第55条は、営業を営もうとする者に都道府県知事の許可を受けるよう定めていて、施設が基準に合うかどうかが見られます。

東京都保健医療局の案内では、新規の申請に施設の構造と設備を示す図面2通、食品衛生責任者の資格を証明するものなどが必要で、申請先は営業所を所管する保健所です。書類は施設工事の完成予定日の10日くらい前に保健所へ出してください、とも書かれています。各特別区と八王子市、町田市の保健所は様式などが異なるとのことなので、そこで営業するなら各保健所に問い合わせることになります。

屋号が違っても厨房は同じことがある
画面の屋号だけでは、厨房が同じかどうかまでは分かりません。アプリの店舗情報に運営者名や所在地が載っていれば、同じ厨房かどうかの手がかりになります。

移転と、引き継ぎの違い

同じ案内には、許可を取ったあとの手続きも載っています。営業所を移転した場合は、その日から10日以内に廃業の届出をして、新たに営業許可の新規申請が必要です。申請書に書いた事項や営業設備に変更があったときは、変更のあった日から10日以内に届出をします。

営業者が変わった場合も、同じ案内では廃業の届出と新規申請が基本です。ただし譲渡や相続、法人の合併や分割のときは、条件によって地位の承継が認められるとされています。食品衛生法第56条にも、許可営業者の地位の承継と、遅滞なく届け出ることが書かれています。人が変われば必ず新規申請、というわけではありません。

ここに書いたのは制度の概要で、法的な助言ではありません。開業を考えているなら、営業所を所管する保健所に相談するのが近道です。

届けるだけなら8%

国税庁のリーフレットによると、テイクアウトや飲食料品の出前・宅配は軽減税率(8%)の対象で、酒類は含まれません。店内での飲食(外食)やケータリングは対象外の10%です。外食かテイクアウトかは、飲食料品を提供する時点で顧客に意思確認を行うなどの方法で判定する、とも書かれています。

デリバリー専門店の料理は、単に届けるだけの形なら8%の側に入ると読めます。ただ、アプリの合計額が料理代と同じとは限りません。内訳は注文画面で確かめてください。

注文ボタンを押す前に

レビューは件数と時期も見る

星の数だけで決めると外しやすいです。レビューの件数と、直近の投稿に何が書いてあるかまで見てください。開業して間もない店は件数が少なく、評価がまだ落ち着いていないことがあります。

運営者の表示を確かめる

アプリの店舗情報に運営会社名や所在地が載っているかを見ます。似た写真や似た説明文の店が並んでいたら、同じ運営元かもしれません。それが悪いわけではなく、頼む側がそうと知って選べるかどうかの話です。

配達の見込み時間と料理の相性

麺類や揚げ物は、時間がたつと食感が変わりやすいです。配達の見込み時間と距離の表示を見て、長くかかりそうなら煮込みやご飯ものに寄せる。そのくらいの選び方で、届いたときの満足はだいぶ違うと思います。

画面の向こうが気になるとき

ゴーストレストランと普通の飲食店の違いは何ですか

いちばんの違いは客席の有無です。ゴーストレストランは店内で食べる場所を持たず、デリバリーやテイクアウトだけで営業します。

客席がない店にも営業許可は必要ですか

必要です。食品衛生法第55条により、営業を営もうとする者は都道府県知事の許可を受けます。申請は営業所を所管する保健所で行い、東京都の案内では各特別区と八王子市、町田市の保健所は様式などが異なるとされています。

デリバリーの料理の消費税率は何%ですか

国税庁のリーフレットによると、出前・宅配の飲食料品は軽減税率の8%で、酒類は対象外です。店内で食べる外食やケータリングは10%です。

デリバリーの市場は伸びていますか

サカーナ・ジャパンの見込みでは、2025年の市場規模は8,240億円で前年比2.0%増です。2024年に一度減ったあと、2025年に再び増えています。

同じ厨房から複数の屋号が出ていることはありますか

あります。そういう運営の形もあるとされていて、店舗情報に運営者名や所在地があれば手がかりになります。

店に行って味を確かめられますか

客の来店を想定していない店なら、判断の材料はアプリの情報とレビューが中心になります。

届くまでの時間に

客席がないぶん、厨房も運営の様子も見えません。その代わりに運営者の表示、レビューの件数と時期、配達の見込み時間が手がかりになります。市場は2025年に8,240億円の見込みで持ち直し、客席がなくても許可は要り、料理の税率は8%。これだけ頭に入れておけば、アプリの一覧はだいぶ読みやすくなるはずです。

頼む側の話は中央線沿線のフードデリバリー事情、今どきの使い方に書いてあります。

出典

  • サカーナ・ジャパン「2025年のデリバリー市場規模は8240億円の見込み」(2025年12月17日公表、2026年11月3日確認) https://www.npdjapan.com/press-releases/pr_20251217/
  • 食品衛生法(昭和22年法律第233号)第55条(営業の許可)、第56条(地位の承継)(e-Gov法令検索、2026年11月3日確認) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000233
  • 東京都保健医療局「営業許可・届出の概要」(新規申請の書類、提出の時期、移転・変更の届出、地位の承継)(2026年11月3日確認) https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html
  • 国税庁「軽減税率の対象品目はなんだろう?」(2026年11月3日確認) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0018006-112.pdf

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