午後10時、午前0時、午前5時、午前6時。夜遅くまで開いている店の話には、この四つの時刻が何度も出てきます。働く人の割増賃金が始まるのが午後10時で、風営法でいう「深夜」が始まるのが午前0時。店が何時まで開けるかは、この時刻の並びとつき合いながら決まっています。
終電の後に入れる店を探す前に、店の側の事情を少し知っておくと、営業時間の案内の読み方が変わります。夜遅くまでやっている店がなぜその時刻で閉めるのかも、何となく見えてきます。
法律が線を引いている時刻
| 時間帯 | 何が変わるか | 決まりのある場所 |
|---|---|---|
| 午後10時から午前5時 | この時間に働く人の賃金は25パーセント以上の割増になる | 労働基準法第37条第4項 |
| 午後10時から午前5時 | 満18歳未満の人を働かせてはならない(交替制で使う満16歳以上の男性などは例外) | 労働基準法第61条第1項 |
| 午前0時から午前6時 | 風営法でいう「深夜」。酒類提供飲食店営業をこの時間に営むには公安委員会への届出が要る | 風営法第13条第1項、第33条第1項 |
二つの法律で線の引き方が違うのが面白いところです。賃金のほうは午後10時から、営業の届出のほうは午前0時から。午後10時を回って人が働いている店は、同じ一皿を出すのに昼より高い人件費がかかっています。
午前0時を回って営むバーや酒場には届出がある
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営法は、午前0時から午前6時までを「深夜」と定めています(第13条第1項)。この法律でいう「酒類提供飲食店営業」は、バーや酒場など客に酒類を提供して営む営業のことで、営業の常態として通常主食と認められる食事を出す店は除かれます(第2条第13項第4号)。
この営業を深夜に営もうとする人は、営業所ごとに、所在地を管轄する公安委員会へ届出書を出さなければなりません(第33条第1項)。届出なので許可とは違いますが、手続きがあることに変わりはありません。
外から見て、ある店がこの届出をしているかどうかは分かりません。客の側として知っておくと役に立つのは、午前0時を境に店の扱いが変わるという一点です。営業の常態として主食を出す店と、バーや酒場とでは、同じ深夜でもかかる手続きが違います。
午後10時から人件費が上がる
東京都の最低賃金は、東京労働局の案内によると2026年10月1日から時間額1,280円です。労働基準法第37条第4項は、午後10時から午前5時までの労働に25パーセント以上の割増を求めているので、1,280円に25パーセントを上乗せすると1,600円。これは計算上の数字で、実際の時給は店ごとに違います。
同じ法律の第61条第1項は、満18歳未満の人を午後10時から午前5時までの間に使うことを禁じています(交替制で使う満16歳以上の男性などの例外があります)。深夜の店で働ける人は、昼より限られるわけです。
深夜に店を開けるには、割増賃金と、店によっては届出の両方がかかります。遅くまで開いている店の品書きが昼と少し違っていたり、深夜の時間だけ別の料金が書いてあったりするのは、こういう事情と無関係ではないはずです。料金の有無は各店の案内で確かめてください。
何のために入るかで、確かめることが変わる
| 場面 | 向いていそうな店の形 | 入る前に確かめること |
|---|---|---|
| 飲み会の二次会 | 居酒屋、バー | ラストオーダーの時刻、人数分の席 |
| 小腹を満たすだけ | 一皿で済む店、カウンター中心の店 | 閉店の時刻、提供の早さ |
| 始発までの時間つぶし | 長く座れる席のある店 | 滞在時間の目安があるか |
| 酒をゆっくり | バー、立ち飲み | チャージの有無、午前0時以降も開いているか |
| 一人でふらっと | カウンター席の店 | 一人で入りやすい席の配置 |
深夜営業と書いてある店ほど、ラストオーダーがどこにあるかを先に見るのが大事だと思います。閉店が午前2時でも、料理の注文が午前1時までなら、使える時間はもっと短い。
飲み会の二次会で人数が多いときは、席があるかどうかを電話で聞いてから移動するほうが、通りを歩き回らずに済みます。
一皿で済ませたい夜
終電の前後に小腹を満たすだけなら、一皿で完結する店が候補になります。下の写真は西荻窪の牛めしの並で、丼とみそ汁で食事が済む形です。長居をせずに食べて帰りたい夜に向いていると思います。

この店の公式の店舗ページは24時間営業と案内していて、22時から翌朝5時の間は深夜料金として7%前後を加算する、とも書いています。営業時間の変更や臨時休業があるという注記もあり、同じチェーンでも店舗ごとに時刻が違うことがあるので、行く前にその店舗のページを見るのがいちばん確かです。西荻窪の店の様子は松屋 西荻窪店の記事にあります。
終電の後の居場所
始発まで時間をつぶすなら、長く座れる席があるかどうかと、滞在時間の目安を店が設けているかどうかの二つを見ます。一人で長居するなら、飲み物を一つ足しておくと、席を使い続けることへの気兼ねが少なくなります。
店を選ぶ前に、帰りの手段を決めておくのも大事です。歩いて帰れる距離なのか、タクシーなのか、始発を待つのか。これを決めてから店を決めると、時計を気にせずに過ごせます。
行ってから困らないために
- 深夜営業と載っていても、ラストオーダーが早めに設定されていることがある。閉店の時刻とは別に見る
- 曜日によって営業時間が変わる店がある。平日と休前日で違う案内が出ていないか確かめる
- 深夜料金やチャージが別にかかる店がある。品書きか公式の案内で先に見る
- 帰りの手段を考えずに店を決めると、出てから困る
- 祝日や年末年始は営業時間が通常と違うことがある。その日の案内を見てから出かける
- 深夜はスタッフの人数が少ない店もあり、混んでいると提供に時間がかかることがある
- 混んでいる店は深夜でも待つことがある。待てない日は候補を二つ用意しておく
夜遅くの店で迷うこと
深夜営業の店はどのエリアに多いですか
どの駅に多いかは一言では言えません。候補の駅を決めたら、店舗ごとの公式の営業時間を見比べるのが早いです。
ひとりでも深夜営業の店に入りやすいですか
カウンター席が中心の店や、一皿で済む店は一人で使いやすい形です。席の配置は店の写真で見当がつきます。
深夜料金がかかる店はありますか
あります。たとえば松屋 西荻窪店の公式の店舗ページには、22時から翌朝5時の間は深夜料金として7%前後を加算するとあります。有無と金額は店ごとに違うので、品書きや公式の案内で先に確かめてください。
予約は必要ですか
店によります。人数が多いときは、席があるかどうかを電話で聞いてから向かうと無駄足が減ります。
女性ひとりでも利用しやすい店はありますか
店の雰囲気と立地で違います。店の情報と駅からの道を先に見ておくと選びやすいです。
深夜営業の店は平日と休日で違いがありますか
曜日で営業時間を変えている店があります。行く曜日の案内を店のページで確かめてください。
クレジットカードや電子マネーは使えますか
支払い方法は店ごとに違います。気になるなら、店の案内で先に見ておくと安心です。
始発まで長時間過ごせる店はありますか
長く座れる席の店の中には、滞在時間の目安を設けているところもあります。長居するつもりなら、入る前に店の案内で確かめてください。
店を出て駅へ向かう前に
午後10時を過ぎて働く人には割増がつき、午前0時を過ぎて酒類提供飲食店営業を営むなら届出が要る。この二つを知っていると、遅くまで開けてくれている店のありがたさが少し具体的になります。あとはラストオーダーの時刻と帰りの手段です。先に決めておくと、夜の店選びはだいぶ楽になります。
遅い時間に頼れる店の話は、中央線沿線の深夜食堂的な存在、夜遅くまで頼れる店にもあります。
出典
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第13条第1項(深夜の定義)、第2条第13項第4号(酒類提供飲食店営業の定義)、第33条第1項(深夜における酒類提供飲食店営業の届出)(e-Gov法令検索、2026年11月3日確認) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000122
- 労働基準法 第37条第4項(午後10時から午前5時までの労働の25パーセント以上の割増)、第61条第1項(満18歳未満の深夜業の禁止)(e-Gov法令検索、2026年11月3日確認) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 松屋フーズ 店舗案内「松屋 西荻窪店」(24時間営業、22時から翌朝5時の間の深夜料金7%前後、営業時間の変更と臨時休業の注記)(2026年11月3日確認) https://pkg.navitime.co.jp/matsuyafoods/spot/detail?code=0000000004
- 東京労働局「東京都最低賃金は10月1日から時間額1,280円になります」(2026年10月1日発効の時間額1,280円)(2026年11月3日確認) https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/