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ちゃんぽん・皿うどんとは?発祥の四海樓と陳平順、2つの料理の違いを解説

長崎の中華料理店「四海樓」の沿革は、1892年、明治25年に19歳で福建省福州から長崎へ渡ってきた若者の話から始まります。持ち物はこうもり傘が一本だったと書いてあります。その若者、陳平順が7年後に開いた店で生まれたと店が伝えているのが、ちゃんぽんと皿うどんです。

中央線沿線の町中華やチェーン店の品書きにも、この二つは並んで載っています。同じ店で生まれた兄弟のような料理なのに、片方は汁がたっぷりで、片方は汁がほとんどない。名前だけ見て頼むと、思っていたのと違う皿が来ることがあります。

ちゃんぽんと皿うどんのスープ・麺・作り方の違いを示した図
ちゃんぽんと皿うどんの違い(本文の説明をもとに作成した図)

同じ鍋から生まれた二つの麺

四海樓の公式サイトは、ちゃんぽんの生みの親を創業者の陳平順だと書いています。当時長崎に来ていた中国人留学生や華僑の同胞のために、安くてボリュームがあって栄養のある一皿として考えた料理で、鶏ガラと豚骨のスープに、長崎でとれる山海の幸を合わせた麺料理だという説明です。

皿うどんも同じ陳平順が、ちゃんぽんのバリエーションとして考案したと公式サイトにあります。ちゃんぽんの麺を一度焼いてから具と炒め、少なめのスープを加えて麺にしみ込ませる。平皿に盛られた汁なしの麺料理だったので、そのまま「皿うどん」と名前がつきました。さらに麺を細くしてパリパリの揚げ麺にした皿うどんも考案したとあって、今よく見る細麺の揚げ麺タイプはこの流れにあります。

つまり皿うどんの「うどん」は、うどんではありません。平皿に盛った麺、くらいの意味で受け取っておくと、品書きで戸惑いません。

明治32年の創業から、今の松が枝町まで

年 四海樓の沿革にある出来事
1892年(明治25年) 陳平順が19歳で長崎へ渡る
1899年(明治32年) 四海樓を創業。ちゃんぽんを考案
1951年(昭和26年)9月26日 籠町(旧広馬場町)で二代目のもと再び開業
1973年(昭和48年)11月14日 松が枝町へ移転
2000年(平成12年)7月4日 創業100周年に合わせて新築オープン

創業から100年以上、再開や移転を挟みながら同じ長崎で続いている店です。発祥とされる店が今も営業していて、公式サイトに由来を書いている。料理の歴史としては、かなり恵まれたほうだと思います。

名前は福建語のあいさつから

ちゃんぽんは、できた当初は品書きにない料理で、「支那饂飩(しなうどん)」と呼ばれていました。公式サイトによると、当時の長崎華僑が交わしていた福建語のあいさつ「シャポン」または「セッポン」、ご飯を食べるという意味の言葉が、ちゃんぽんという呼び名のもとです。

ただ、語源はこれ一つに決まった話でもないようです。長崎市の「ナガジン」は福建語の話を一説として紹介し、中国の鉦(かね)の音のチャンと日本の鼓(つづみ)の音のポンを組み合わせたという説も挙げています。呼び名が明治後期ごろに変わっていったようだ、という書き方です。

日本語の「ちゃんぽん」には、違うものを混ぜるという意味もあります。福建から渡ってきた人が長崎の食材で作った麺料理に、この言葉がついた。偶然にしては、できすぎた名前だと思います。

長崎から全国へ運んだチェーン

ちゃんぽんを長崎の外に広げた会社として名前が挙がるのが、リンガーハットです。「長崎ちゃんぽん」の名を全国区に押し上げたと自社で紹介していて、公式の沿革によると、1962年(昭和37年)7月22日に長崎市鍛冶屋町で「とんかつ浜勝」を創業した会社が、1974年(昭和49年)8月13日に「長崎ちゃんめん」(現在の長崎ちゃんぽん)とぎょうざを主力にしたチェーン店の1号店を長崎市に開きました。

年 リンガーハットの沿革にある出来事
1962年(昭和37年)7月22日 長崎市鍛冶屋町で「とんかつ浜勝」を創業
1974年(昭和49年)8月13日 「長崎ちゃんめん」とぎょうざを主力にしたチェーン店の1号店を長崎市に開店
1977年 「リンガーハット」に名前を改めた1号店を福岡県に開店
1979年 首都圏1号店「リンガーハット大宮バイパス与野店」を埼玉県に開店
1982年(昭和57年)8月 株式会社浜勝から株式会社リンガーハットへ商号変更
1985年(昭和60年) 6月8日に100号店(福岡大橋店)を開店、10月に福岡証券取引所へ株式を上場

首都圏1号店が埼玉県にできたのが1979年。発祥から80年たってようやく、このチェーンの看板が関東に来たことになります。現在は野菜をすべて国産にして、キャベツは農薬や化学肥料を減らした契約栽培だと案内しています。

汁のあるなしで、ここまで変わる

比べるところ ちゃんぽん 皿うどん
麺の扱い 太めの麺をスープで煮込む 麺を焼いて具と炒める。細麺なら揚げてあんをかける
汁 鶏ガラと豚骨のスープをたっぷり 少なめのスープを麺にしみ込ませる。汁なしに近い
食感 麺とスープの一体感 焼き麺のこうばしさ、揚げ麺のパリッとした歯ざわりと、あんのとろみ
具 豚肉、魚介、野菜 ちゃんぽんと共通の具を使うことが多い

具の系統はほぼ同じで、麺の調理法と食べ方が違う。それだけでまったく別の一皿になります。汁を張らない麺料理という点では、皿うどんは汁なし担々麺や油そばと並べて考えることもできます。汁なし系の中華麺の違いは担々麺・汁なし系麺、ラーメン以外の中華麺グルメの楽しみ方に書いてあります。

品書きの前で決めること

  • スープまで味わいたい日はちゃんぽん。麺の歯ざわりを楽しみたい日は皿うどん
  • 皿うどんは太麺の店と細麺の店がある。太麺は焼き麺でやわらかめ、細麺は揚げ麺でパリパリになりやすい
  • 野菜をたくさん食べたいなら、品書きの説明や写真で具の量を見る。ここは店ごとに違う
  • 具は共通なので、二人なら一つずつ頼んで分けると、両方の食感を一度に試せる

中央線沿線でこの二つを探すなら、専門チェーンのほか、長崎料理を出す居酒屋や町中華の品書きにも載っていることがあります。町中華と地域料理の専門店では品書きの幅が違うので、店の型の見分け方は中央線沿線の中華料理店の選び方を見てください。

初めての店では細麺か太麺かを聞く
品書きに皿うどんの麺の太さまで書いていないこともあります。「細い麺ですか、太い麺ですか」の一言で、想像と違う皿が来る行き違いは減らせます。

取り違えやすいところ

名前だけでは汁の有無が分かりにくいのが、この二つのいちばんの落とし穴です。スープを飲むつもりで頼んだら汁のない皿うどんが来た、という行き違いは初めての店で起こりやすいです。品書きに写真がなければ、スープの有無を一言聞いておくと安心です。

ちゃんぽんは野菜と具のかさがあるぶん、麺の量が思ったより少なく感じることがあります。しっかり食べたい日は、麺の増量ができるか聞いてみてください。皿うどんのあんは熱いので、揚げ麺のパリパリを楽しみたいなら、あんをかけてすぐに食べ始めるほうが向いています。

注文の前に浮かぶ疑問

ちゃんぽんと皿うどんはどちらが先に生まれましたか

ちゃんぽんが先です。皿うどんはちゃんぽんのバリエーションとして、同じ陳平順が考案したと四海樓の公式サイトにあります。

ちゃんぽんは中華料理ですか、それとも日本の料理ですか

福建省出身の陳平順が長崎で考案し、長崎でとれる山海の幸を使ったと四海樓が伝える料理です。農林水産省の郷土料理のページは長崎県の名物の麺料理として紹介しています。生まれは中国の人の手、育ちは長崎、と受け取っておくのが素直だと思います。

ちゃんぽんに使う麺は他の麺と何が違いますか

太めの麺が使われます。長崎市の「ナガジン」は、長崎のちゃんぽんと皿うどんの麺を、唐灰汁(とうあく)の入った独特の麺として紹介しています。ほかの土地の店まで同じとは限らないので、気になるときは表示や店の説明で確かめてください。

皿うどんの麺はどこで買えますか

スーパーなどで皿うどん用の麺が市販されています。家で作るなら、あんの具をちゃんぽんと同じ豚肉、魚介、野菜の系統でそろえると、店の皿に近づけやすいと思います。

ちゃんぽんと皿うどん、どちらもカロリーは高いですか

店や盛りの量で大きく変わります。ちゃんぽんはスープを飲み干すかどうかで塩分が変わり、皿うどんの揚げ麺は油を吸っているぶん脂質が多くなりやすいです。チェーン店には公式サイトで栄養成分を公開しているところもあるので、数字はそちらで確かめてください。

長崎以外でも本場の味は食べられますか

長崎発のチェーン店が全国に店を出しているので、長崎まで行かなくても長崎ちゃんぽんの名前のついた一杯は食べられます。同じ味かどうかは別の話で、発祥の店の一杯は長崎まで行くしかありません。中華料理店で生まれて日本で独自に広まった麺料理という点では冷やし中華も同じで、仙台と東京の二つの発祥説は冷やし中華とは?仙台説と東京説、2つの発祥と定番の楽しみ方に書いてあります。

レンゲを持つ前に

1899年の長崎で、留学生と同郷の人たちのために作られた一杯が、今は中央線沿線の店でも品書きに載っています。汁があるのがちゃんぽん、汁がないのが皿うどん。それさえ覚えておけば、品書きの前で大きく迷うことはないはずです。あとは、細麺か太麺かを一言聞いて、あんが熱いうちに食べ始める。そのくらいの用意で十分だと思います。

出典

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