「こけし屋 since 1949」。白い文字のロゴを掲げたガラス張りの店が、西荻窪駅から徒歩1分のところにあります。
2022年に一度閉じた老舗が、2026年に同じ街で再開した姿です。昔から知っている人にとっては見慣れた名前で、初めて聞く人にとっては、駅前に新しくできた洋菓子店に見えるかもしれません。
名前を知っていても知らなくても、この店は「昔の話」と「今の営業」を分けて読む必要があります。長い歴史を持つ店ほど、検索結果には古い情報が残るからです。
- 1947年に学生が開いた喫茶店から始まり、1949年に「こけし屋」の名がついた(西荻町学)
- 文化人サロン「カルヴァドスの会」の拠点として、中央線沿線の文化と結びついてきた(西荻町学)
- 2022年3月に建物の老朽化で閉店(リビングむさしのWeb)、2026年に別館跡地で再開
- 再開は段階的で、2026年9月からランチとアフタヌーンティーが始まったとキチナビが伝える
- 公式ホームページは一時休止中。閉店前の評判と今の店は別物として読む

再開後の店頭です。ガラス張りの壁面に、白い文字で店名と「since 1949」。古い建物を引き継いだのではなく、新しい建物に昔の名前を掲げている、という見え方です。
学生の喫茶店が洋菓子とフランス料理の店になるまで
こけし屋の始まりは1947年だと、地域の歴史を記録している西荻町学(確認日2026-09-20)が伝えています。創業者の大石宗一郎氏が早稲田大学の学生だった時期に、両親が経営していた洋服屋の建物を使って喫茶店を開いたのが最初でした。
「こけし屋」という店名がついたのは1949年。店に集まっていた「こけしの会」から名前を取ったとされています。店頭の「since 1949」はこの年と重なります。
つまり店としては1947年から、こけし屋という名前では1949年から、ということになります。資料によって創業年が2つ出てくるのはこのためで、どちらも間違いではありません。
その後、扱うものが段階的に広がりました。西荻町学によると、1951年にフランスベーカリー、1953年にフランスレストランを開いています。戦後間もない西荻窪でフランス料理を出す店はほかになかった、と語られています。
最終的には六階建ての本館と二階建ての別館を持つ規模になり、本館には洋菓子コーナー、喫茶室、レストラン、宴会場が入っていました。駅前の一角で、お菓子を買う人と食事をする人と宴会をする人が同じ建物に出入りしていた、ということです。
カルヴァドスの会のこと
こけし屋を語るときに欠かせないのが、文化人の集まる場だったという側面です。店名の由来になった「こけしの会」は、のちに「カルヴァドスの会」と名前を変えています。
会長を務めたのはパリ駐在の経験がある石黒敬七氏で、中央線沿線に住む文化人が集まる場になりました(西荻町学)。喫茶店から始まった店がフランス料理やフランス菓子へ広がっていった背景には、この人の流れがあります。
西荻窪という街が、骨董や古書や喫茶店と並べて文化的な色合いで語られることがあります。その語られ方と、こうした場が長くあったこととは、無関係ではないように思います。
2022年の閉店から2026年の再開まで
こけし屋は2022年3月に閉店しました。理由は建物の老朽化で、惜しまれながらの閉店だったとリビングむさしのWeb(確認日2026-09-20)が伝えています。
そこから約4年。再開は一度にではなく、段階を踏んで進みました。
| 時期 | 内容 | 伝えている媒体 |
|---|---|---|
| 2022年3月 | 建物の老朽化で閉店 | リビングむさしのWeb(確認日2026-09-20) |
| 2026年5月7日 | プレオープン。焼菓子の販売から再開 | リビングむさしのWeb(確認日2026-09-20)、キチナビ(確認日2026-11-03) |
| 2026年6月21日 | グランドオープン | キチナビ(確認日2026-11-03) |
| 2026年9月1日 | ランチとアフタヌーンティーの営業を開始 | キチナビ(確認日2026-11-03) |
いずれも地域情報サイトの掲載で、店自身の発表ではありません。OZmallの記事も2026年6月の再オープンと伝えています。
場所はかつて別館があった一帯で、西荻窪駅から徒歩1分(リビングむさしのWeb)。新しい建物の一階部分に入っています。店頭には「salon de KOKESHIYA」という表記の入口も並んでいます。

通り側から見ると、ガラスの壁面が横に続き、左手に「salon de KOKESHIYA」の入口があります。六階建てだった本館を知っている人には、1階がガラス張りの今の構えはずいぶん違って見えるかもしれません。
今の営業は、どこまで分かっているか
ここが、この店について調べるときにいちばん気をつけたいところです。
こけし屋の公式ホームページ(kokeshiya.com)は、2026年11月3日の時点でも「ホームページ一時休止中」の表示のままです。営業時間も定休日もメニューも載っていません。店の発信は公式Instagram(@kokeshiya_official)です。
公式に出ている営業の案内がない以上、ここから先の営業内容は、すべて地域情報サイトの掲載として読んでください。
キチナビ(確認日2026-11-03)によると、営業はモーニング、ランチ、アフタヌーンティーの3区分で、水曜が定休。焼菓子の販売もあり、マドレーヌ、オレンジケーキ、サブレを組み合わせた3個入りのセットが1,512円と紹介されています。カフェラウンジのスペースは落ち着いた雰囲気で、平日は比較的ゆっくり過ごせたという報告もあります。
| 項目 | 閉店前(西荻町学) | 再開後(キチナビ、リビングむさしのWeb) |
|---|---|---|
| 建物 | 六階建ての本館と二階建ての別館 | かつて別館があった一帯の新しい建物の一階 |
| 営業の形 | 洋菓子コーナー、喫茶室、レストラン、宴会場 | 焼菓子の販売、モーニング・ランチ・アフタヌーンティーの3区分 |
| 定休日 | 資料に記載なし | 水曜(キチナビの紹介。店の発表ではない) |
| 公式の案内 | 資料に記載なし | 公式ホームページは一時休止中、発信は公式Instagram |
宴会場のあった本館と、一階の店とでは、できることがまるで違います。閉店前の記憶で「食事に行こう」と考えている方は、何が食べられるかを公式Instagramで見てから出かけるほうが確実です。
再開してからの店なので、営業時間もメニューもこれから変わるかもしれません。古い情報が検索結果に多く残っている店でもあります。行く前に公式Instagramで最新の案内を見てください。
古い記事と新しい記事の見分け方
この店を検索すると、閉店前の記事と再開後の記事が同じ画面に並びます。見分けるには、記事の中に出てくる建物と品書きを手がかりにするのが早いです。
六階建て、宴会場、レストランのコース、朝市。この言葉が出てきたら閉店前の話です。
プレオープン、焼菓子の販売、カフェラウンジ、アフタヌーンティー。この言葉が出てきたら2026年以降の話です。
洋菓子の名前だけは両方に出てくるので、サバランやニューヨークチーズケーキの記事は、日付を見てから読む必要があります。再開後に同じものが並んでいるかは、店で確かめるほかありません。
閉店前と再開後の評判
こけし屋の口コミは、閉店前のものと再開後のものが混ざっています。読むときは時期を意識したほうがよさそうです。
洋菓子について
閉店前から一貫して評価が高いのが洋菓子です。「西荻窪で一番好きなお菓子屋さん」「リーズナブルなのにどのお菓子も幸せになる美味しさ」という声があり、価格と味の釣り合いを評価する書き方が目立ちます。
個別の商品では、サバランを挙げる人が多く見られます。洋酒がしっかり染み込んだタイプで、買いに来た客が次々とこれを選んでいたという記述もあります。ニューヨークチーズケーキについては「チーズ感がしっかりしている」「コクと滑らかさがあっておいしい」と評価されています。
ショーケースの印象としては、レトロで懐かしいという言葉がよく使われます。流行を追った見た目ではなく、昔ながらの洋菓子店の並びだという受け止め方です。
再開後のカフェラウンジについて
再開後のカフェラウンジについては、おしゃれで落ち着いた雰囲気だと評価されています。平日は混雑が少なくゆっくり過ごせたという報告があります。駅から徒歩1分という立地なので、待ち合わせや休憩に使いやすい位置です。
閉店前に語られていたこと
閉店前は、洋菓子だけでなくフランス料理のレストランとしても知られていました。ビーフ・ブルギニョン、ポトフ、カレー、オニオングラタンスープといったフランスの家庭料理が特徴として挙げられています(西荻町学)。毎月第2日曜に開かれていた朝市では、店の料理を手頃な価格で食べられたという記述もあります。
ただしこれらは閉店前の話で、再開後に同じ形で出ているかは別の問題です。検索で出てくる情報の多くがこの時期のものなので、期待して行くと内容が違う、ということが起こりえます。
長く評価されてきたもの
洋菓子の質と価格の釣り合い、レトロな佇まい、そして西荻窪という街との結びつき。この3つが長く評価されてきた柱です。
一方で、店の形が大きく変わった直後という事情があるので、今の営業について書かれた情報はまだ多くありません。過去の評判をそのまま今の店に当てはめないこと。この店を調べるときは、そこだけ気をつけてください。
読んでいて浮かびそうな疑問
こけし屋はいつからある店ですか
西荻町学によると、1947年に創業者の大石宗一郎氏が早稲田大学の学生時代に喫茶店として開いたのが始まりです。「こけし屋」という店名がついたのは1949年で、店頭の「since 1949」はこの年と重なります。1951年にフランスベーカリー、1953年にフランスレストランを開いています。
一度閉店したと聞きましたが、今は営業していますか
2022年3月に建物の老朽化で閉店したとリビングむさしのWebが伝えています。キチナビによると、約4年を経て2026年5月7日にプレオープン、6月21日にグランドオープンし、2026年9月1日からはランチとアフタヌーンティーの営業も始まっています。公式ホームページは一時休止中なので、営業の案内は公式Instagramで見てください。
場所は前と同じですか
かつて別館があった一帯で、西荻窪駅から徒歩1分です(リビングむさしのWeb)。閉店前にあった六階建ての本館とは建物が違います。新しい建物の一階部分に入っていて、店頭には「salon de KOKESHIYA」という表記の入口も並んでいます。
フランス料理は今も食べられますか
閉店前の本館ではレストラン営業や宴会場の利用がありましたが、再開後は形が変わっています。キチナビの紹介ではモーニング、ランチ、アフタヌーンティーという区分で営業していて、内容は再開前と同じではありません。検索で出てくる情報の多くが閉店前のものなので、行く前に公式Instagramで今の案内を見てください。
焼菓子は買えますか
再開はまず焼菓子の販売から始まりました(リビングむさしのWeb)。キチナビでは、マドレーヌ、オレンジケーキ、サブレを組み合わせた3個入りのセットが1,512円と紹介されています。価格は変わることがあるので、店頭で見てください。
混みますか
再開後のカフェラウンジについては、平日は混雑が少なくゆっくり過ごせたという報告があります(キチナビ)。ただし再開して日が浅く、報告の数そのものがまだ少ない店です。
なぜ文化人が集まる店だったのですか
店名の由来になった「こけしの会」が、のちに「カルヴァドスの会」という文化人サロンに名前を変えたためです(西荻町学)。会長はパリ駐在の経験がある石黒敬七氏で、中央線沿線に住む文化人が集まる場になりました。喫茶店がフランス料理やフランス菓子へ広がっていった背景にも、この人の流れがあります。
店の情報
店名 こけし屋
住所 東京都杉並区西荻南3-14-6(キチナビ、確認日2026-11-03)。OZmallの記事は西荻南3-14-2と書いていて、番地が分かれます
場所 西荻窪駅から徒歩1分(キチナビ、リビングむさしのWeb)、かつて別館があった一帯(リビングむさしのWeb、確認日2026-09-20)
店の発信 公式Instagram(@kokeshiya_official)。公式ホームページ kokeshiya.com は一時休止中(2026年11月3日確認)
営業時間・定休日 店の公式の案内が出ていないため載せていません
再開して日が浅く、営業の形が変わる可能性があります。キチナビでは水曜定休、モーニング・ランチ・アフタヌーンティーの3区分と紹介されています(確認日2026-11-03)。出かける前に公式Instagramで最新の案内を見てください。
出典
- 1947年に大石宗一郎氏が早稲田大学の学生時代に両親の洋服屋の建物で喫茶店を開いたこと、1949年に「こけしの会」から店名がついたこと、1951年のフランスベーカリーと1953年のフランスレストラン、「カルヴァドスの会」への改名と石黒敬七氏が会長を務めたこと、六階建ての本館と二階建ての別館という構成、ビーフ・ブルギニョンやポトフなどのフランス家庭料理について:西荻町学「こけし屋」(確認日2026-09-20)
- 2022年3月に建物の老朽化で閉店したこと、2026年5月7日のプレオープンと焼菓子販売からの再開、西荻窪駅徒歩1分という立地について:リビングむさしのWeb(確認日2026-09-20)
- 2026年6月21日のグランドオープン、2026年9月1日からのランチとアフタヌーンティー営業開始、営業時間の区分、定休日が水曜であること(店の発表ではなく地域情報サイトの紹介)、焼菓子セット(マドレーヌ・オレンジケーキ・サブレ3個入)1,512円、カフェラウンジの雰囲気、住所:キチナビ https://kichinavi.net/kokeshiya/ (確認日2026-11-03)
- 2026年6月の再オープン、西荻南3-14-2の住所:OZmall https://www.ozmall.co.jp/ozmagazine/article/46002/ (確認日2026-11-03)
- 公式ホームページが「ホームページ一時休止中」の表示であること:こけし屋公式ホームページ http://www.kokeshiya.com/ (確認日2026-10-04、2026-11-03)
- 公式Instagram @kokeshiya_official:アカウントの存在(確認日2026-10-04)。キチナビの記事からもリンクされています(確認日2026-11-03)
- 洋菓子の評判(サバラン、ニューヨークチーズケーキ、レトロなショーケース、価格と味の釣り合い)、毎月第2日曜の朝市について:食べログおよび同店を扱う各媒体の記事(確認日2026-09-20)
- 店頭の写真2枚:再開後の店頭で撮ったもの。「since 1949」と「salon de KOKESHIYA」は看板と入口の表記
創業年は資料によって1947年(喫茶店としての開業)と1949年(こけし屋という店名がついた年)に分かれます。
西荻窪と洋菓子・洋食の記事
西荻窪の店を一覧にした記事、同じ街の和菓子店の記事、洋食店とフレンチの見方の記事です。