業界・制度動向

中央線沿線でフードロス削減に取り組む飲食店の工夫

年間461万トン。農林水産省が推計した、2024年度に日本で捨てられた「まだ食べられる食品」の量です。そのうち外食産業から出た分が70万トン。桁が大きすぎて実感が追いつきませんが、国民1人あたりに直すと1年で約37キロになります。

中央線沿線で店に入るたびにこの数字を思い出す必要はありません。ただ、食べきれる量を頼むという小さな行動が、この70万トンのどこかにつながっている。そのくらいの距離感で読んでもらえればと思います。

内訳を見ると、外食の立ち位置が分かる

461万トンの中身は、事業系が237万トン、家庭系が224万トンです。ほぼ半々。事業系をさらに業種で分けると、次のようになります。

区分(2024年度推計) 食品ロス量
食品製造業 110万トン
外食産業 70万トン
食品小売業 48万トン
食品卸売業 9万トン
事業系の合計 237万トン
家庭系 224万トン
全体 461万トン

事業系の中で、外食は製造業に次ぐ二番目の規模です。この事業系の推計値は、2026年6月30日に農林水産省が公表したものです。

家庭から出る分が事業系とほぼ同じだけある、というところは見落としがちです。店の取り組みを気にする前に、冷蔵庫の奥の話でもある。数字はそう言っています。

国の目標まで、あと18万トン

国は2000年度の547万トンを基準に、事業系の食品ロスを2030年度までに6割減の219万トンにする目標を置いています。もともとは5割減が目標でしたが、2022年度にそれを達成したことを踏まえて6割減に引き上げられました。

2024年度の237万トンは、2000年度と比べて57パーセントの削減です。219万トンまであと18万トン。ただ、前年度と比べると6万トン増えています。ゴールが見えてきたとはいえ、削りやすいところから手がついてきたのだとすれば、残りはこれまでより難しいかもしれません。

もう一つ、業種ごとの目標があります。令和7年3月に公布された食品リサイクル法の新しい基本方針は、2029年度までの再生利用等の実施率を業種別に示しました。

業種 2029年度までの実施率目標
食品製造業 95パーセント
食品卸売業 75パーセント
食品小売業 65パーセント
外食産業 50パーセント

外食は四つの業種の中でいちばん低い水準です。国の資料は、事業者の取り組みを評価する仕組みを考える場面で、扱う食品の特性などによって発生抑制や再生利用の進めやすさが事業者ごとに違う点に触れています。皿の上に何が残るかは客しだいで、店だけでは決められない部分がある。外食の難しさはそこにあると思います。

消費者庁と厚生労働省の「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」(令和6年12月25日策定)には、外食産業の食品ロスの排出要因の約5割が消費者の食べ残しだとあります。半分は客の側の話、ということです。

店の流れを追うと、減らせる場所が見える

どこで無駄が出るかは店ごとに違います。考えられる工夫を店の仕事の流れに沿って並べると、次のようになります。どの店が何をしているかという話ではなく、品書きや店頭の表示を読むときの手がかりです。

  • 仕入れ。必要な分だけを小刻みに頼む形にすると、使い切れない食材が減る
  • 仕込み。曜日や天気で来る人の数は変わるので、仕込む量をその日ごとに決める店は無駄が出にくい
  • 提供。ご飯や麺の量を選べるようにする、少なめの注文を受ける。客の側が量を決められる仕組みは、食べ残しを減らす近道
  • 伝え方。方針を店頭や品書きに書いておくと、客も協力しやすい

この四つの中で、客として見分けやすいのは三つ目です。「ご飯少なめできます」の一行があるかどうか。小さな表示ですが、店が食べ残しをどう見ているかは、こういうところに出ることがあります。

閉店前の値引きや、余りそうな料理をアプリで知らせる方法については、中央線沿線で使える食品ロス削減アプリの仕組みと活用に書いています。

客の側でできることは、思ったより少なくて確か

農林水産省は消費者の行動として、食べきれる分量を注文して食べ残しを出さないことを挙げています。身もふたもないほど単純ですが、外食の食品ロスの排出要因の約5割が食べ残しだという数字を思い出すと、客にできることの中ではこれが大きいと思います。

頼む前のひと言で足りる
量が心配なら「少なめにできますか」と先に聞く。大皿を人数分より少なく頼んで、足りなければ追加する。最初に少なく頼んで後から足すほうが、残して申し訳なく思うより気が楽です。

食べきれなかったときの持ち帰りについては、先ほどのガイドラインに考え方が書いてあります。持ち帰りは通常、最初の契約には含まれておらず、客が申し出た段階で店と新たに合意しているのが実態とされています。持ち帰りに向く食品かどうかは店が判断し、客は店の指示に従う。そして持ち帰りは客の自己責任が前提です。

つまり、持ち帰れるかどうかは店に聞いて決まります。断られることもあるでしょう。頼む前に量を調整しておくほうが、結局いちばん確かです。

店を選ぶときの手がかり

食品ロスに取り組む店を探すといっても、看板に書いてある店ばかりではありません。見るところは三つくらいです。

  1. 品書きに量の選択肢があるか。少なめ、半分、小盛りなどの表示
  2. 店頭やSNSに方針や取り組みの説明があるか
  3. アプリに登録している店なら、アプリの中で探せることがある

値段の安さだけで選ぶより、食材をどう使い切っているかを見る。そういう物差しを一つ持っておくと、店の見え方が変わります。安い店が悪いという話ではなく、安さの理由が見える店のほうが選びやすい、というだけです。

つまずきやすいところ

  • 人数分より多く頼んで、半分残す。最初は少なめに頼んで追加する
  • 持ち帰れると思い込んで頼みすぎる。持ち帰りは店の判断と合意が前提
  • 閉店前の値引きを当てにして行ったら、その日は出ていなかった。日によって変わるので、あれば幸運くらいに考える
  • 規格外の食材と聞いて味を疑う。規格は主に形や大きさをそろえるためのもので、規格外というだけで味が劣るとは限らない
  • 取り組みを掲げる店を見つけて満足する。自分の皿を空にするほうが数字には効く

食品ロスの話で聞かれそうなこと

フードロス削減に取り組む店はどうやって見分ければよいか

品書きに量の選択肢があるか、店頭やSNSに方針の説明があるかを見てください。アプリに登録している店なら、アプリの中で探せることもあります。店の人に直接聞くのがいちばん早いです。

規格外食材を使ったメニューは味や品質に問題があるのか

規格は主に形や大きさをそろえるためのもので、規格外というだけで味が劣るとは限りません。どの食材をどう使うかは店ごとの判断なので、気になるときは店に聞いてみてください。

閉店前の割引メニューは狙い目か

余りそうな料理を値引きする店なら、価格の面では得になることがあります。ただ、何が出るかはその日の残り具合しだいです。目当ての品があるなら、当てにしすぎないほうが落ち着いて選べます。

フードロス削減アプリはどのように使うのか

アプリごとに仕組みが違います。登録の手順や受け取り方は、中央線沿線で使える食品ロス削減アプリの仕組みと活用で説明しています。

個人店とチェーン店で取り組み方に違いはあるか

店の規模や運営の形で、できることは変わります。どちらが上という話ではないので、目の前の店が量の選択や持ち帰りにどう対応しているかを見るほうが実用的です。

食べ残しを減らすために利用者ができることは何か

農林水産省が挙げているのは、食べきれる分量を注文して食べ残しを出さないことです。少なめにできるか先に聞く、最初は少なく頼んで足りなければ追加する、持ち帰れるかを店に聞く。この三つで十分です。

まかない料理として提供される食材は安全なのか

店ごとの扱いなので、一律には言えません。まかないは店で働く人のための食事で、客に出る料理とは別のものです。余った食材を客向けの品に回すかどうかは店の判断なので、気になるときは店に聞いてください。

食品ロス削減の取り組みは今後どうなっていくと考えられるか

国の目標は、事業系の食品ロスを2030年度までに2000年度比6割減の219万トンにすることです。外食産業には2029年度までに再生利用等の実施率50パーセントという目標もあります。目標がある以上、店の側の工夫は続くはずで、その先は農林水産省の公表を追うのが確かです。

最後のひと口まで

461万トンのうち外食が70万トン、その排出要因の約半分が食べ残し。店の取り組みを探すのもいいのですが、自分の皿を空にして帰るのがいちばん近い協力です。少なめにできるか聞く、足りなければ足す、持ち帰れるか聞く。この三つを覚えておけば、どの店でも使えます。

あわせて読みたい:中央線沿線で使える食品ロス削減アプリの仕組みと活用

出典

  • 農林水産省「食品ロスとは」(2024年度推計の食品ロス量461万トン、事業系237万トン、家庭系224万トン、食品製造業110万トン、食品卸売業9万トン、食品小売業48万トン、外食産業70万トン、1人あたり約37キロ、食べきれる分量を注文するという消費者の行動)(2026年11月3日確認) https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html
  • 農林水産省「食品ロス」トピックス(事業系食品ロス量(2024年度推計値)を令和8年6月30日に公表)(2026年11月3日確認) https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/index.html
  • 農林水産省 報道発表(2026年6月30日付。事業系237万トン、前年度比6万トン増、外食産業70万トン、2000年度比57パーセント削減、2030年度までに60パーセント削減の目標と見直し前の50パーセント)(2026年11月3日確認) https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/260630.html
  • 農林水産省「食品ロスの削減に関する法制度・目標」(「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」令和8年7月の分割版。2000年度547万トン基準で2030年度までに6割減の219万トン、5割減の目標を2022年度に達成、令和7年3月公布の食品リサイクル法基本方針による2029年度までの業種別実施率目標、食品の特性による進めやすさの違い)(2026年11月3日確認) https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_4-233.pdf
  • 消費者庁・厚生労働省「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」(令和6年12月25日策定。外食産業の排出要因の約5割が食べ残し、持ち帰りの合意、持ち帰りに適する食品の判断、消費者の自己責任)(2026年11月3日確認) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/promote/assets/consumer_education_cms201_251107_10.pdf

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