商店街を端から端まで歩くと、顔ぶれはだいたい決まっています。店先で揚げ物を売る肉屋、煙の上がる焼き鳥屋、和菓子屋、パン屋。一軒で満腹にならずに、少しずつ買って少しずつ食べるのが、商店街の食べ歩きのいいところです。
ただ、手に残った容器や串をどうするか、どこで食べるかは、その通りで商売をしている人との関係に直結します。コロッケを一つ買うだけなら気楽ですが、そのあとの振る舞いまで含めて食べ歩きだと思っておくと、気持ちよく回れます。
四つの顔ぶれと食べる順番
| 顔ぶれ | よくある品 | 食べる順の目安 |
|---|---|---|
| 揚げ物 | コロッケ、メンチカツ、串カツ | 揚げたてを先に |
| 焼き物 | 焼き鳥、串焼き、たこ焼き | 温かいうちに |
| 甘味 | 大福、どら焼き、団子、今川焼き | 締めに回す |
| パン・総菜 | 総菜パン、コロッケパン | 昼ご飯の代わりに |
この分け方に決まりがあるわけではなく、商店街の店を眺めていくとだいたいこの四つに落ち着く、というくらいの話です。順番は温かいものを先に、冷めても味が変わりにくい甘味を後に回すと、最後までおいしく食べやすくなります。
甘いものと塩気のあるものを一つずつ組み合わせると、量は少なくても満足しやすい気がします。全部揚げ物にすると、三軒目あたりで胃が重くなるのが落ちです。

写真は吉祥寺の月のうさぎの今川焼きです。手に持って食べられる大きさの甘味は、食べ歩きの締めに向いた形をしています。
東京の商店街を数字で見ると
東京都産業労働局の「令和4年度東京都商店街実態調査」(令和5年3月発行)によると、都内の商店街は令和4年10月の時点で2,374か所です。前回の令和元年の調査から73か所減っています。
商店街に加入している店を業種で分けると、飲食店が36.3%でいちばん多く、小売業は33.8%でした。小売業は前回の調査から3.5ポイント下がっています。商店街といえば八百屋や魚屋という印象がありますが、加入店の割合で見ると、飲食店が小売業を上回っています。一つの商店街あたりの平均加入店舗数は52.9店です。
同じ調査で、商店街が抱える問題として「後継者が不足している」と答えた割合は69.7%で最も多く、過去の調査から増え続けています。コロッケの店や団子の店が代替わりで続くかどうかは、通りごとに事情が違うはずです。気に入った店があるなら、あると分かっているうちに通っておくほうがいい、というのが正直なところです。
集客力のあったイベントでは「売り出し(セール等)」が46.0%で最も多くなっています。にぎわいの中で食べ歩きをしたいならその日に、落ち着いて選びたいなら別の日に、という使い分けができそうです。
買う前に通りを一往復
- 通りをひと通り歩いて顔ぶれを見てから、目当ての店に戻る
- 揚げ物や焼き物などの温かいものを先に、甘味を後に
- 甘いものと塩気のあるものを組み合わせる
- 揚げたてを狙うなら、補充の時間を店の人に聞いてみる
一往復するのは遠回りに見えますが、最初の店で買いすぎて後半が入らなくなる失敗を防ぐための、ちょっとしたひと手間です。歩いているうちに目が慣れて、どの店に人が並んでいるかも分かってきます。
聞くのが面倒なら、揚げ場に油の音がしているかどうかで見当をつける手もあります。
通りで食べるときの気づかい
- ごみは買った店に返せるか聞くか、持ち帰る。道端には置かない
- 混んだ通りでは歩きながら食べず、道の端や店先の食べる場所で食べる
- タレや汁が垂れやすい品は、受け取った紙や容器で受けながら食べる
- 店の前で食べるときは、ほかの客の出入りをふさがない
商店街の入口や店先に食べ歩きについてのお願いが掲げてあれば、それに従うのがいちばんです。通りによって考え方は違うので、看板や貼り紙を一度見ておくと安心です。
ごみ箱が通りにあるとは限りません。小さな袋を一枚持って出るだけで、串や包み紙の置き場に困らなくなります。
スプーンが要るか聞かれるようになった理由
持ち帰りの弁当や総菜を買うと、「スプーンはお付けしますか」と聞かれることがあります。黙って袋に入っていた頃とは、少し様子が違ってきました。
背景の一つが、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)です。沖縄県の案内によると、商品やサービスに添えて無料で配られるフォークやスプーンなどの12製品が「特定プラスチック使用製品」とされていて、配る側の事業者には提供方法の工夫が求められています。製品を渡すときに受け取る意思を確かめることや、辞退した人にポイントを付けることが、そこで挙げられている工夫の例です。施行令第5条を見ると、フォークやスプーンなど5品目の対象には飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業、飲食料品小売業などが挙がっていて、飲食料品小売業のうち食肉小売業や鮮魚小売業などは除かれています。同じ通りでも、店の業種によって扱いが違うことがあります。
| 店での工夫の例 | 沖縄県の案内での説明 |
|---|---|
| 要るかどうかを聞く | 製品を提供する際に、受取の意思を確認する |
| 断った人にポイント | 辞退者にポイントを付与する |
| 穴あきのスプーンやフォーク | 減量化したものを使用する |
食べ歩きの串や今川焼きのように、そもそもカトラリーが要らない品なら、聞かれたときに「いりません」と答えるだけで済みます。要らないものは受け取らないのが、いちばん手軽な協力の仕方だと思います。
穴あきのスプーンを初めて見ると不思議に思うかもしれませんが、プラスチックの量を減らす工夫の一つです。木のピックや紙の容器を見かけたら、同じ流れの中の工夫かもしれません。
条文そのものは、e-Gov法令検索で法律と施行令を読めます。対象の業種や品目を正確に知りたいときは、そちらで確かめてください。
食べ歩きで迷いそうなこと
食べ歩きグルメと屋台グルメの違いは何ですか
屋台は祭りや催しのときに期間限定で出る形が多く、商店街の食べ歩きは常設の店がふだんから売っているものを買う、という違いがあります。
木のスプーンや紙のストローが増えたのはなぜですか
背景の一つがプラスチック資源循環促進法です。無料で配られる主にプラスチック製のフォークやスプーンなどの12製品が特定プラスチック使用製品とされ、配る側に提供方法の工夫が求められています。素材を変えた理由は店ごとに違うかもしれません。沖縄県の案内では、穴あきのスプーンやフォークなど減量化したものを使うことが工夫の例に挙げられています。
店でスプーンが要るか聞かれるのはなぜですか
製品を渡すときに受け取る意思を確かめることが、同じ案内で提供方法の工夫の例として挙げられています。必要な人にだけ渡す形です。
複数の店を回る順番に決まりはありますか
決まりはありません。温かいものを先に、冷めても味が変わりにくい甘味を後に回すと、最後までおいしく食べやすくなります。
子ども連れでも楽しめますか
少量から買えるので分け合いやすいです。混んだ通りでは立ち止まって食べる、串は大人が持つなど、安全には気をつけてください。
雨の日でも楽しめますか
アーケードのある商店街なら天気に左右されにくいです。屋根のない通りは、雨の日は店先で食べる場所も限られるので、持ち帰りに切り替えるのも手です。
持ち帰って家で食べることもできますか
店によります。持ち帰り用に包んでくれる店もあるので、買うときに一言聞いてください。揚げ物は時間がたつと衣の感じが変わるので、家で食べるなら温め直す前提で考えると気が楽です。
通りを出るときに
手に残っているのが空の串と包み紙だけで、その置き場も決まっている。それなら、その日の食べ歩きはうまくいっています。揚げ物から入って甘味で締める、通りは一往復、ごみは持ち帰る。覚えることはこのくらいで、あとは店の人とのやりとりを楽しんでください。
出典
- 東京都産業労働局商工部地域産業振興課「令和4年度東京都商店街実態調査報告書」(令和5年3月発行、調査時点は令和4年10月。商店街数、業種別の割合、平均加入店舗数、問題点、イベントの効果。2026年11月3日確認) https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/chushou/ef30f8c14fa5590ce238bb19480d2dd7_1.pdf
- 沖縄県「特定プラスチック使用製品(12製品)」(提供方法の工夫の例。2026年11月3日確認) https://www.pref.okinawa.jp/kurashikankyo/gomirecycle/1004166/1034062.html
- プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律 第28条(2026年11月3日確認) https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000060 、同法施行令 第5条(2026年11月3日確認) https://laws.e-gov.go.jp/law/504CO0000000025
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