パフェのグラスの真ん中あたりに入っているアイス。あれが「アイスクリーム」なのか「アイスミルク」なのか「ラクトアイス」なのかは、国の命令で呼び名の決まりがあります。果物やクリームの陰に隠れがちですが、口溶けを左右するのはこの層です。
夜に飲んだあとの甘い締めとして出すパフェがある一方で、昼の明るい時間に季節の果物を重ねて出す店もあります。同じパフェでも、どの時間に食べるかで店の顔ぶれも中身も変わってきます。昼のパフェを目当てに歩くなら、見るところも少し違います。
昼のパフェと夜のパフェ、分かれ目はどこか
呼び方として定着しているのが「シメパフェ」です。お酒と食事のあとに甘いもので一日を締めるという食べ方で、夜遅くまで開けている店で出されることが多いようです。量があって満足感を重視する組み立てになりやすく、何人かで分け合う光景も見かけます。
昼のパフェはその反対側にあります。季節の果物を主役に置いて、層ごとの味の変わり方や見た目の組み立てで勝負する店があります。時期によって果物が入れ替わるので、同じ店でも季節が変わると別のパフェになっている。そういう追いかけ方ができるのが昼のほうです。
| 見るところ | 昼のパフェ | シメパフェ |
|---|---|---|
| 出る時間 | 昼から夕方が中心 | 夜から深夜が中心 |
| 主役 | 季節の果物 | アイスやクリーム、菓子類 |
| 店が力を入れるところ | 層の組み立て、味の変化 | 量と満足感 |
| 合う場面 | 散歩の途中の休憩、昼の集まり | 食事のあとの締め |
| 値段の動き方 | 使う果物で上下しやすい | 店によって幅がある |
きっちり二つに分かれるものではなくて、昼にも夜にも出す店はあります。どちら寄りの店かを見る目安くらいに受け取ってください。夜のほうの話は深夜のシメパフェの記事に分けて書いています。
グラスの中を上から順に読む
品書きに「いちごのパフェ」とだけあっても、中にどんな層が重なっているかまでは分かりません。説明書きや店の写真を見るときに、層を四つに分けて見ると組み立てが読みやすくなります。
| 層 | 役割 | 店ごとに違うところ |
|---|---|---|
| いちばん上 | 見た目と香りの主役 | 季節の果物か、焼き菓子か |
| 中ほど | 食感の変化をつける | グラノーラ、スポンジ、ジュレ |
| アイスやジェラート | 温度と口溶けの中心 | 使うアイスの種類別 |
| 底 | 最後の一口の後味 | ソースかクリームか |
冷たいアイスと常温の果物、なめらかなクリームとざくざくした粒。温度と食感の対比をどこに置くかで、食べ進めたときの飽き方が変わります。上から下まで同じ味が続くパフェより、途中で一度表情が変わるパフェのほうが最後まで楽しい。これは好みの問題ではありますが。
ソースも店の性格が出るところです。果物の果汁をそのまま使う店もあれば、チョコレートやキャラメルで甘さを足す店もあります。果物の酸味とどう釣り合わせているかは、底まで食べてみないと分かりません。
下の写真は西荻窪の純喫茶のチョコレートバナナパフェです。脚つきのグラスの上にバナナとクリームが立ち上がり、グラスの中はチョコレートソースとコーンフレークのような粒の層。上の表に当てはめて見ると、組み立てが読みやすいと思います。

この一杯と店のことは西荻窪 それいゆのチョコレートバナナパフェの記事にあります。季節の果物が主役のパフェと並べると、層の考え方の違いが見えてきます。
アイスの名前は命令で決まっている
「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」、いわゆる乳等省令という決まりがあります。その第2条第21項で、アイスクリーム類は、乳やこれを原料にした食品を加工するか主な原料にして凍らせたもののうち、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く)と定められています。乳固形分が3.0%に満たない氷菓は、この命令のアイスクリーム類には入りません。
そのアイスクリーム類のうち、アイスクリームとして売るものが「アイスクリーム」、アイスミルクとして売るものが「アイスミルク」、ラクトアイスとして売るものが「ラクトアイス」。第22項から第24項の言い方はこういう形で、三つとも「アイスクリーム類であって」という書き出しです。数字のほうは別表の成分規格に出てきます。
| 命令での呼び名 | 第2条の定め方 | 別表の成分規格 |
|---|---|---|
| アイスクリーム類 | 乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く) | 第2条に3.0%以上 |
| アイスクリーム | アイスクリーム類であって、アイスクリームとして販売するもの | 乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上 |
| アイスミルク | アイスクリーム類であって、アイスミルクとして販売するもの | 乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上 |
| ラクトアイス | アイスクリーム類であって、ラクトアイスとして販売するもの | 乳固形分3.0%以上 |
三つの違いは乳固形分と乳脂肪分の量にあります。同じ店のパフェでも、使うアイスの種類別が違えば口溶けと後味も違ってくるはずです。条文と別表はe-Gov法令検索で読めます。
店のパフェに入っているアイスがどれに当たるかまで品書きに書いてある店は、多くないと思います。聞けば教えてくれる店もあるでしょうし、ジェラートの店なら話はまた別です。知っていて得をする場面は多くないかもしれません。それでも口溶けが軽いと感じたときに「乳脂肪が少なめなのか」と見当をつけられるくらいの知識として、頭の隅に置いておく価値はあると思います。
「パフェ」という名前のこと
語源はフランス語のparfait(完全な)だという説がよく紹介されます。公的な資料で決まった話ではないので、そういう説があるという程度に受け取ってください。
背の高いグラスに何層も積む今の形がどこで固まったかについても、諸説あるようです。名前の由来より、目の前のグラスの中身を読むほうが楽しいとは思います。
昼のパフェに向く日、向かない日
- 向く日。時間に余裕があって、一杯にゆっくり向き合える日。果物の旬を追いかけたい季節
- 向かない日。急いでいる日。目当ての果物が決まっていて、それがないと困る日(仕入れで変わります)
果物を主役にする店は、その日の仕入れで中身が変わることがあります。目当てがある人は、その日の品書きを店の案内で見てから出かけるほうが外れません。載せていない店なら、電話で聞いてしまうのが早いです。
混む時間を避けたいなら、昼の食事どきを外すという手もあります。ただ、パフェは食後のものと決めている客が多い店なら、食事どきのあとのほうが混む。どちらが混むかは店によって違うので、一度入ってみて覚えるしかないところです。
がっかりしがちな場面
- 目当ての果物を楽しみに行ったら、その日の仕入れで別の果物に替わっていた。季節の品は変わる前提で出かける
- 出てくるまでに時間がかかって、次の予定に遅れそうになった。層を重ねるパフェは一杯ずつ作るので、時間に余裕を見る
- 持ち帰れると思って頼んだら、店内だけだった。層が崩れる品なので、持ち帰りの可否は先に聞く
- 二人で二つ頼んだら量が多すぎた。昼のパフェでも背の高いグラスは量があるので、最初は一つを分けるくらいで様子を見る
- 写真を撮ろうとしたら席が暗かった。窓際の席が空いていれば頼んでみる
グラスが来る前に気になること
昼パフェとシメパフェはどちらが甘さ控えめですか
一概には言えませんが、果物の酸味を生かしてすっきりした甘さに仕上げる昼のパフェはあります。甘さの度合いは店ごとに違うので、品書きの説明で果物とソースの組み合わせを見てください。
一人でも入りやすいですか
カウンター席がある喫茶店の形の店なら、一人でも使いやすいです。テーブル席だけの店でも、混む時間を外せば気兼ねは少なくて済みます。
季節によってメニューは変わりますか
季節の果物を主役にする店なら、時期ごとに顔ぶれが入れ替わると思っておいてよさそうです。目当ての果物があるなら、その日の品書きを店の案内で見てから出かけてください。
予約は必要ですか
席の少ない店では、混む時間に待つことがあります。予約を受けているかどうかは店によって違うので、確実に座りたい日は店の案内で予約の可否を見てください。
テイクアウトはできますか
層を重ねる品なので、持ち帰りには向きにくいと思います。店内で食べるのが基本と考えて、持ち帰りたい場合は注文の前に聞いてください。
どの季節が一番種類が豊富ですか
初夏から夏にかけては果物の顔ぶれが多く、品書きの幅が広がりやすい時期だと思います。秋冬は秋冬で柑橘や柿など別の顔ぶれになるので、種類の数より目当ての果物で時期を選ぶほうが楽しめます。
子ども連れでも利用しやすいですか
お酒を使わないパフェが中心の甘味処のような店なら、子ども連れでも使いやすいと思います。席の形や混み具合は店ごとに違うので、ベビーカーで入るなら先に聞いておくと安心です。
スプーンを入れる前に
昼のパフェは果物が主役で、グラスの中は上から四つの層で読める。真ん中のアイスには乳等省令の呼び名の決まりがあって、口溶けの違いを考える手がかりになる。覚えておくのはこのくらいで十分です。あとは季節の果物が変わるたびに、同じ店のグラスがどう変わるかを追いかけるのが、昼のパフェのいちばんの楽しみだと思います。
出典
- 乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(昭和26年厚生省令第52号)第2条第21項〜第24項(アイスクリーム類、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの定義)、別表二(三)(7)〜(9)(成分規格)(e-Gov法令検索、2026年11月3日確認) https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000100052
お茶とコーヒー、夜のパフェの記事
パフェのあとに寄りたいお茶の店と、夜に食べるパフェの記事です。
- 中央線沿線の日本茶カフェ、味わい方と店選びのコツ(煎茶や抹茶を出す店の選び方)
- 中央線沿線の紅茶専門店、茶葉の選び方と楽しみ方(茶葉の種類と頼み方)
- 中央線沿線のコーヒースタンド、立ち飲みで楽しむ選び方(さっと一杯のコーヒースタンド)
- 深夜のシメパフェ文化、中央線沿線での楽しみ方(同じパフェでも昼と深夜では店の顔ぶれが変わる)