屋根の看板は、今も漢字の「本村庵」のままです。1924年(大正13年)に上荻窪村本村で開業し、2024年に100周年を迎えた手打ちそばの店「本むら庵 荻窪本店」。ここで卵とじそばを食べてきました。歴史と注文の目安は、店の公式サイトの年表と品書きによります。
- 実際に食べた卵とじそば(刻み海苔たっぷり)
- 出前中心の店が1971年に石臼挽きの手打ちそば専門店へ転じた経緯(公式サイトの「本むら庵の百年」)
- 公式の品書き せいろそば1,000円、天せいろそば2,400円など
- 無料駐車場30台、2025年4月後半からクレジットカードのタッチ決済に対応(電子マネー・QRコード決済は不可)

食べたのは卵とじそば

注文したのは卵とじそばです。刻み海苔がたっぷりのった見た目で、うまいそばでした。老舗らしい落ち着いた雰囲気の店内で、ゆっくり食事ができました。
卵とじそばは公式サイトの「おしながき」には載っていない品なので、頼めるかどうかは店内の品書きで確かめてください。温かいそばで迷ったら、品書きにある鴨南ばんそば(2,000円)か天ぷらそば(2,800円)が目安になります。
「本村庵」から「本むら庵」へ、出前の店が手打ち専門になるまで
公式サイトの「本むら庵の百年」によると、初代の小張清右衛門は1904年(明治37年)に日露戦争に召集され、二〇三高地で銃弾を受けながら生還した人です。けがの後遺症で農作業ができなくなり、1923年の関東大震災で荻窪のあたりに人が移り住むようになったのをきっかけに、「うちは本家だからそば屋にしよう」と1924年(大正13年)に店を開きました。
店名は地名の上荻窪村本村から取ったもので、はじめは「本村庵」。1971年(昭和46年)の改築のとき、題字を書いた人の「漢字ばかりだと堅い」という進言で「村」をひらがなにしました。屋根の看板だけは今も「本村庵」です。
駅から離れた場所だったので、長く近所への出前が中心の店でした。転機は同じ1971年。三代目の信男さんが42歳で店を大改装し、手打ちそば専門店に踏み切ります。そば粉も店で、それも石臼で挽くことにこだわって、田舎をまわって農家の石臼を探し、石の材質や目の切り方を変えた臼を何十通りも試し、試作品は100個におよんだと公式サイトに書かれています。今は「挽きたて・打ちたて・茹でたて」の三たてを掲げています。
今の建物は1998年(平成10年)6月の全面改築によるものです。関東大震災と阪神・淡路大震災を教訓に地中深くまで杭を打ち、入口のスロープや段差のない通路を備えたと公式サイトにあります。試作した石臼のいくつかは、今も中庭の花鉢台として残っているそうです。百年の話を読んでから店に行くなら、庭のほうも見てみてください。
公式の品書きで見る価格
公式サイトの「おしながき」に載っている代表的な品と価格です。数字は公式サイトの表示のままで、「税込」と書かれているのは特別献立の欄です。
| メニュー | 価格(公式サイト) |
|---|---|
| せいろそば | 1,000円 |
| 田舎そば | 1,100円 |
| 鴨せいろそば | 2,000円 |
| 鴨南ばんそば | 2,000円 |
| 天せいろそば | 2,400円 |
| 天ぷらそば | 2,800円 |
| そばがき | 1,400円 |
| 玉子焼き/そば豆腐 | 各850円 |
| そば寿司 | 3,600円 |
| 特別献立(8品、2名から30名、予約制、開始11:30〜19:00) | 1人7,500円(刺身に変更は9,100円) |
単品のそばだけでなく、酒肴を何品か頼んでからそばで締める、いわゆる蕎麦前の形で来る人も多いようで、庭を眺めながら少し贅沢な昼を過ごしたい日に向いている店です。せいろ1,000円と天せいろ2,400円の差は天ぷらの分なので、そばの味を見たい初回はせいろ、二度目に天せいろという順番が無理がありません。
評判
食べログの口コミは700件を超え、評価は3.5点台で、荻窪のそば店の中でも上位です(2026年9月時点)。Rettyなどほかのサイトの口コミもあわせて読むと、味、接客、混雑、値段について似た傾向が見えてきます。
味の評判
そばそのものは「香りが良い」「細く切られたそばの繊細さ」をほめる声がとても多く、自家製粉・手打ちの「三たて」を挙げる口コミが目立ちます。江戸風の濃いめのつゆとの相性をほめる声もあり、「東京で一番美味しいそば屋」という趣旨の高評価も見られました。一方で「量がやや少なめ」という指摘も複数あり、大盛りを勧める口コミもあります。
天ぷらは「上品な仕上がり」「揚げたてが香ばしい」という評価が多く、鴨南蛮そばは「鴨が薄切りで上品」という口コミが目立ちます。冷やしナスや湯葉、そばがき、豚しゃぶといった季節の一品も「素材の良さを感じるあっさりした味」と評判で、そば前として楽しむ声が多めです。「喉ごしが良い」「つゆによく絡む」と麺の食感をほめる声も多く、石臼自家製粉の細打ちが好評のようです。冷たいそばには本わさびをその場ですりおろして添えるとの口コミもあり、薬味への気配りをほめる声も見られます。今回食べた卵とじそばのような温かいそばも含めて、全体に上品で丁寧な味づくりをほめる口コミが多い印象です。
接客と店内の評判
接客は「丁寧」という好意的な口コミが多い一方、混んでいるときは「店内がやや騒がしく感じた」という声も一部にあります。庭については「苔むす庭園」「四季の盆栽が渋い」という表現が多く、落ち着いた老舗らしい空間をほめる声が目立ちます。「ゆったりとした時間が流れる」「思っていたより広い店内だった」という感想もあり、82席のゆとりを評価する口コミが多めです。店内にそば打ち場があり、打つ様子を眺めながら待てる点を挙げる声もありました。「清潔感があって落ち着く」という口コミも見られ、和風庭園を眺めながらの食事を優雅な時間として挙げる声も目立ちます。
混雑の評判
「常に満席」「入り口から人があふれるほど混んでいる」という口コミが目立ち、人気店らしい混み具合がうかがえます。待ち時間は10分から40分ほどという報告があり、予約がほぼ必須という趣旨の口コミも見られました。平日の時間帯をずらせば比較的空いているという声もあるので、混雑を避けたい日は時間帯選びが肝心です。昼どきや週末は特に混みやすいという傾向は、口コミ全体で共通しています。
値段の評判
公式の品書きではせいろそば1,000円、天せいろそば2,400円と、価格帯に幅があります。「単価はやや高め」という感想がある一方、「そばの品質を考えれば適切」と納得する口コミも多く、値段と満足度のバランスは評価が分かれつつも、総じて好意的に受け止められている印象です。特別献立のような高めのコースは、慶事や会食向けの特別な利用として捉える口コミが目立ちました。
客層と使われ方の評判
客層は「中年層」「昼飲みグループ」「家族連れ」と幅広く、平日の昼間はやや空いていて、休日や夜はとても混むという声が多めです。そば前の酒肴を楽しんでからそばで締める形で来る人も多く、昼飲みの場としての人気もうかがえます。駐車場がある点を挙げる口コミもあり、車で来やすい店として親しまれているようです。記念日や会食で選ぶ口コミも見られ、日常使いから特別な日まで幅広く支持されている老舗です。
口コミ全体から見えること
食べログとRettyの口コミを横断して読むと、評価の軸は「自家製粉・手打ちのそばの品質」と「庭園を望む落ち着いた空間」の二つです。創業から100年を超える歴史そのものを理由に挙げる口コミも多く、老舗としての安心感や、四代にわたって受け継がれた製法へのこだわりにふれる声も見られました。不満としては「量がやや少ない」「価格がやや高め」という声が一定数あるものの、老舗の専門店ならではの価格として受け入れられている面もあり、大きな低評価にはつながっていません。混雑は昼どきや週末を避ければ対応できるという声が多く、平日の空いた時間を狙うのが、口コミから読み取れるひとつの手です。落ち着いた雰囲気の中でそばと一品料理をゆっくり楽しみたい人に向いた店として、幅広い世代に支持されています。
店の情報
| 店名 | 本むら庵 荻窪本店 |
|---|---|
| 住所 | 東京都杉並区上荻2-7-11 |
| 電話 | 03-3390-0325 |
| 営業時間 | 11:00〜21:30(ラストオーダー21:00) |
| 定休日 | 火曜日(祝日の場合は営業し、翌平日に振り替え休業)、第1・第3水曜日。ほかに年始休業、夏季休業あり |
| アクセス | 荻窪駅 JR西口から線路沿い約8分(公式の案内) |
| 駐車場 | 隣接の無料駐車場30台(公式サイト) |
| 支払い方法 | 現金、クレジットカード(UC、VISA、Master card、JCB、American Express、Diners)、Jデビット。タッチ決済は2025年4月後半から使え、上限は15,000円(税込)。電子マネー・QRコード決済は取り扱いなし(公式サイト) |
| 座席数 | 82席(22卓)。座敷(広間)20席、座敷(個室)10席、テーブル席52席。座敷席もテーブルと椅子です。庭園を望む店内で、終日全席禁煙(公式サイト) |
| バリアフリー | 車椅子でも安心のバリアフリー設計。乳児用おむつ交換台、オストメイト用流し台(水栓シャワー付き)あり(公式サイト) |
定休日のところは、祝日が火曜に当たる週は営業して翌平日が休みになる、という決まりです。月ごとの営業日は公式サイトに載るので、火曜と水曜に行くときはそこを見てから出かけてください。
行く前の疑問
営業時間を教えてください。
公式サイトの店舗案内では11:00から21:30まで、ラストオーダーは21:00です。時間帯によって混み具合が変わるので、余裕を持って訪れるのがおすすめです。
予約はできますか。
特別献立は予約制で、2名から30名まで、開始は11:30〜19:00と公式の品書きにあります。ふだんの席の予約や人数の多いときの扱いは、電話(03-3390-0325)で確かめてください。
混雑する時間帯はありますか。
口コミでは、昼どきや週末は混み合いやすいようです。ゆっくり食事を楽しみたい日は、時間帯をずらして訪れるとよさそうです。
支払い方法は何が使えますか。
公式サイトの店舗案内では、現金、クレジットカード、Jデビットが使えます。2025年4月後半からはカードのタッチ決済も使え、上限は15,000円(税込)で、超えた分はカードを差し込んで暗証番号を入れる形です。電子マネーとQRコード決済は取り扱っていません。
駐車場はありますか。
公式サイトの店舗案内に無料駐車場30台と書かれています。
テイクアウトはできますか。
公式サイトにテイクアウトのお知らせがあり、2026年10月28日付の「テイクアウトメニュー」が載っています(確認日2026-11-03)。その日の品は電話(03-3390-0325)で確かめてください。
定休日はいつですか。
火曜日(祝日の場合は営業し、翌平日が休み)と第1・第3水曜日が定休日です。公式サイトに「今月・来月の営業日」のページがあるので、訪問前に見ておくと確実です。
バリアフリーへの対応はありますか。
公式サイトの店舗案内では、車椅子の方でも安心のバリアフリー設計とされています。乳児用のおむつ交換台とオストメイト用流し台(水栓シャワー付き)も設置されています。
そば粉はどうやって作っていますか。
1971年に三代目が手打ち専門店に転じて以来、石臼で挽いた自家製粉の粉で打っています。公式サイトには、農家の石臼を探し、材質や目の切り方を変えた臼を何十通りも試し、試作品は100個におよんだと書かれています。玄そばは国内産にこだわっていると公式サイトにありますが、今の産地の内訳は書かれていません。
大正の開業から百年を超えた老舗の手打ちそばを、卵とじそばで食べられる一軒です。庭を望む店内や、そば前になる一品料理の多さも魅力。荻窪でそばが食べたくなった日の候補に入れておいてください。
出典
- 沿革(1924年開業、店名の由来、1971年の改築と手打ち専門店への転換、石臼の試作、1998年の全面改築、国内産の玄そば): 本むら庵公式「本むら庵の百年」 https://honmura-an.co.jp/history/ (確認日2026-11-03)
- 品書きと価格、特別献立: 本むら庵公式「おしながき」 https://honmura-an.co.jp/menu/ (確認日2026-11-03)
- 住所・電話・営業時間・定休日・アクセス・駐車場・座席数・全席禁煙・支払い・設備: 本むら庵公式「店舗のご案内」 https://honmura-an.co.jp/access/ (確認日2026-11-03)
- テイクアウト: 本むら庵公式 テイクアウトのお知らせ https://honmura-an.co.jp/takeout/ (確認日2026-11-03)
- タッチ決済: 本むら庵公式お知らせ「タッチ決済が可能となりました」(2025年5月23日) https://honmura-an.co.jp/info/other/3415/ (確認日2026-11-03)
- 口コミの傾向: 食べログ、Retty(2026年9月時点)
写真は実際に注文したときのものです。卵とじそばの価格は公式の品書きにないため、店内で確かめてください。
ほかに食べた店
実際に訪れて食べた店の記事です。そばとは畑違いですが、虎ノ門の鉄板焼の記録もあります。