杉並区の世帯の58.6%は、一人で暮らしている世帯です。
令和2年国勢調査をもとに杉並区が出している数字で、特別区全体の53.5%より5ポイントほど高くなっています。シェアハウスやコリビングを探していて中央線沿線が候補に入っているなら、先に頭に入れておいていい数字だと思います。一人分の食事をどうするか考えている人が、それだけいる街だと読めるからです。
共用キッチンは便利です。ただ、ほかの住人と時間や器具を分け合う場所なので、毎食そこで作ると決めてかかると、どこかで無理が出そうです。まわりにどんな店があるか。部屋の広さと同じくらい、暮らしやすさに関わってくるところです。
数字で見る、この街の世帯の形
| 世帯の型(令和2年国勢調査) | 杉並区 | 特別区全体 |
|---|---|---|
| 単身 | 58.6% | 53.5% |
| 夫婦と子 | 18.3% | 20.3% |
| 夫婦のみ | 14.8% | 15.4% |
| ひとり親と子 | 5.4% | 6.9% |
夫婦と子の世帯も、夫婦だけの世帯も、特別区全体より少し低い割合です。総世帯数は杉並区が336,103、特別区全体が5,208,438。母数の大きさはまるで違いますが、単身の割合だけが杉並区で頭一つ高いのが分かります。
ここで一つ注意があります。単身世帯が多いからといって、外食や持ち帰りで済ませている人が多いとまでは、この資料からは言えません。数字が示しているのは世帯の形だけで、シェアハウスの住人が集計でどう数えられているかも、この資料には書かれていません。食事の手段がどうなっているかは、物件のまわりを自分の足で見て考える話になります。
内見の帰りに歩いて見ておく四つのこと
- 営業時間。帰宅する時間帯まで開いている定食屋や総菜店があるか
- 持ち帰りのしやすさ。弁当や総菜の店、持ち帰りに対応する飲食店があるか
- 買い出し。スーパーや八百屋が歩いて行ける距離にあるか
- 作業場所。長居しやすいカフェがあるか
物件情報で分かることには限りがあります。定食屋が夜何時まで開いているか、総菜店が一人分の量で売ってくれるかは、歩かないと分かりません。
できれば、自分が実際に食事をする時間帯に歩いてみてください。昼の内見で見た商店街と、夜九時の商店街は、別の顔をしていることがあります。開いている店とだいたいの値段をメモしておくと、ほかの物件と比べるときに効いてきます。
働き方でも見るところが変わります。日中は会社にいる人なら帰宅後まで開いている店、リモートワークが中心の人なら作業できるカフェ、夜勤がある人なら深夜や早朝に開いている店。自分の生活の時間に合う店が一軒あるだけで、ずいぶん気が楽になるはずです。
頼りになる業態と、それぞれの持ち味
| 業態 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 定食屋 | 一食で主食・主菜・副菜がそろいやすい | 品数をそろえて食べたい日 |
| 弁当・総菜店 | 少量から買える店がある | 忙しい日、自炊に一品足したい日 |
| カフェ | 長く過ごせる店がある | 作業や共用ラウンジ代わり |
| コンビニ・スーパー | 遅い時間まで開く店がある | 深夜や早朝の買い出し |
定食屋は一食で主食と主菜と副菜がそろいやすいので、自炊を休みたい日の受け皿になります。弁当や総菜の店は、少量から買い足せる店なら使い勝手がいいです。共用キッチンでごはんだけ炊いて、おかずを一品買って帰る、という組み立てもできます。量り売りの店の使い方は量り売り総菜店の使い方に書いてあります。
カフェは、共用ラウンジが混んでいる日の逃げ場になります。長く座っていられるかは店ごとに決まりが違うので、作業するつもりなら先に確かめておくほうが気楽です。
作る日と買う日の線引き
| 場面 | 向いている選択 |
|---|---|
| 平日の夜、時間がない | 持ち帰りや総菜。共用スペースで温めるだけにする |
| 作業しながら食べたい | 長居できるカフェ。電源と席の間隔を確かめる |
| 人と食事したい | 取り分けやすい料理の店。人数変更に対応できるか確かめる |
| 多めに買っておきたい | 量り売りの総菜店。必要な分だけ買える |
共用キッチンは、使える時間帯や器具が物件ごとに決まっていることがあります。自炊と外食の比率は、結局そのルール次第です。入居前に、使える時間と、冷蔵庫で自分が使える棚がどれくらいかを聞いておいてください。
持ち帰りを軸にしておくと、キッチンの時間の取り合いから少し離れられます。温めるだけなら、電子レンジの順番待ちだけで済む。自炊にこだわって平日の夜に疲れ果てるより、買って帰る日を最初から予定に入れておくほうが長く続くと思います。
持ち帰った料理を共用冷蔵庫に入れる前に
厚生労働省は、テイクアウトやデリバリーの料理について、調理してから食べるまでの時間が長く、気温の高い時期は特に食中毒のリスクが高まると注意を呼びかけています。食中毒菌は、20〜50℃の温度帯でよく増えます。
同じ案内は店に向けたものですが、購入した食品は速やかに食べるよう客に伝えることを求めています。すぐ食べないなら、速やかに10℃以下まで冷やすか、65℃以上で保管するのが、厚生労働省の示している目安です。
共用の冷蔵庫では、ここにもう一つ手間が要ります。誰の物か分かるように、名前と日付を書いておくことです。こちらは食中毒の話ではなく、同居人との関係を守るための話です。日付がないと自分でもいつ買ったか分からなくなって、結局捨てることになります。
買いすぎも、捨てる原因になります。農林水産省の令和6年度の推計では、食品ロスは年間461万トンで、そのうち家庭から出る分が224万トン、事業系が237万トンです。食品ロス全体を国民一人あたりに直すと、1年で約37キログラム。必要な分だけ買える総菜店を使うことは、共用冷蔵庫の場所の取り合いを減らすことにもつながりそうです。
入居してから気づきやすいこと
- 日中の内見だけで決めて、夜や早朝の周辺の様子を見ていなかった
- 共用キッチンの利用ルールを聞かずに入居して、使える時間が自分の生活と合わなかった
- 共用冷蔵庫に入れた持ち帰りの料理を食べ忘れた
- 近くのスーパーが思ったより早く閉まって、帰宅後に買い出しができなかった
- 作業できるカフェがなくて、共用ラウンジの混み具合に毎日左右された
どれも、内見のときに一時間余分に歩くか、入居前に一つ質問しておけば避けやすいことです。部屋の写真は何枚も見るのに、まわりの店は見ない、というのはもったいないと思います。
探している人から出そうな疑問
共用キッチンだけで生活できますか
使い方次第ですが、ほかの住人と使いたい時間が重なることもあります。近くの飲食店や総菜店を併用するつもりでいると無理がありません。
持ち帰った料理を共用冷蔵庫に入れるときの注意は
厚生労働省の店向けの案内は、購入した食品を速やかに食べるよう客に伝えることを求めています。すぐ食べない分は速やかに10℃以下まで冷やし、名前と日付を書いて早めに食べ切ってください。
夜勤がある場合、周辺で何を確認すべきですか
深夜や早朝に開いている弁当・総菜店やコンビニがあるかを見ておくと安心です。自分が帰宅する時間に一度歩いてみるのが確実です。
カフェで長時間作業しても大丈夫ですか
店によって決まりが違います。長く過ごすつもりなら、席の時間制限や電源の有無を先に確かめてください。
内見のときに周辺の食環境を確かめるコツはありますか
自分が実際に食事をする時間帯に周りを歩き、開いている店と価格をメモしておくと、ほかの物件と比べやすくなります。
杉並区には一人暮らしの人が多いのですか
令和2年国勢調査をもとにした杉並区の資料では、区内の世帯の58.6%が単身世帯で、特別区全体の53.5%より高くなっています。
部屋と同じくらい、まわりを見る
単身世帯の割合が高い街で、一人分の食事を支えてくれる店は、暮らしの土台みたいなものです。シェアハウスやコリビングを選ぶときは、営業時間、持ち帰りのしやすさ、買い出しの便を、自分の生活の時間に合わせて歩いて確かめてください。持ち帰った料理はすぐ食べるか冷やす。必要な分だけ買う。この二つを守っていれば、共用キッチンとも共用冷蔵庫とも、長く付き合えると思います。
出典
- 杉並区「杉並区基礎資料」資料6-5 杉並区民の世帯構成(令和2年国勢調査 従業地・通学地による人口・就業状態等集計 第25表の一般世帯数から区が算出。単身は「単独世帯」、単身58.6%、特別区53.5%、総世帯数336,103と5,208,438)(2026年11月3日確認) https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/19031/shiryo06_data.pdf
- 厚生労働省「テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防」(事業者向け。食中毒菌は20〜50℃でよく増える、速やかに10℃以下まで冷やすか65℃以上で保管、購入した食品は速やかに食べるよう客に伝える)(2026年11月3日確認) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00003.html
- 農林水産省「食品ロスとは」(令和6年度推計。年間461万t、事業系237万t、家庭系224万t、1人当たり約37kg)(2026年11月3日確認) https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html
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