2020年の国勢調査で、いちばん多い世帯の形は一人暮らしでした。総務省統計局の結果の概要によると、単独世帯が一般世帯に占める割合は2015年の34.6%から2020年の38.1%に上がり、数そのものも2015年と比べて14.8%増えています。年齢別に見ると、単独世帯に属する人の割合は、男性では25〜34歳の28.8%がいちばん高くなっています。
世帯の数がそのまま一人飲みの数になるわけではありません。ただ、一人で暮らす人がこれだけいれば、一人でのれんをくぐる人も珍しくはないはずです。それでも初めての店の前で足が止まるのは、一人客を受け入れる造りかどうかが外から分からないからだと思います。店の評判より、そっちのほうがよほど気になるものです。
のれんの前で分かること
一人で入りやすいかどうかは、店の前に立った時点でかなり見当がつきます。
- カウンター席が中心の店構えか
- 一品ごとの小さな皿がメニューにあるか
- 店の外から中の様子が見えるか
- お通しの有無と金額が店頭やメニューに書いてあるか
- 短い時間だけ寄っても気兼ねしない雰囲気か
| 確かめること | 見方 | 分かること |
|---|---|---|
| カウンターの有無 | 窓やのれんの隙間、店の写真 | 一人客を前提にした席があるか |
| お通しの扱い | 店頭の表示、メニュー、店のサイト | 最初に払う最低額 |
| 一皿の量 | メニューの「小」「ハーフ」の表記 | 一人で何品頼めるか |
| 外から中が見えるか | 入口の造り | 混み具合を見てから入れるか |
カウンターがあるかどうかは、窓やのれんの隙間からでも案外見えます。外から中が見えない店は悪い店というわけではなく、入るまで様子が分からないというだけのことです。初めての一人飲みでそれを楽しめるかどうかは、人によります。
一皿の量で、頼める品数が決まる
一人だと、大皿を一つ頼んだ時点でほかの品に手が回らなくなります。小さい皿がそろっている店なら、二品三品と頼んでも持て余しません。

写真は西荻窪の田毎のおでんで、赤い皿に数種類が盛られています。おでんのように種ごとに選べる料理は、一人でも量を調整しやすい形です。二つか三つで止めることも、気に入った種を足すこともできます。
メニューに「小」や「ハーフ」の表記があるかも見ておきたいところです。なければ注文のときに量を聞けばいいだけなので、気負う必要はありません。
業態で過ごし方が変わる
一人で入れる店といっても、業態によって過ごし方はだいぶ違います。次の表はあくまで目安です。
| タイプ | 過ごし方の目安 | 向いていそうな日 |
|---|---|---|
| 立ち飲み | 短い時間が前提で、一杯から頼みやすい | 仕事帰りに一杯だけ |
| カウンター中心の店 | 店の人との距離が近く、一品ずつ出てくる | 料理や酒をゆっくり味わいたい日 |
| チェーンの居酒屋 | メニューや価格をウェブで先に見られることが多い | 初めて一人で飲む日 |
| 個人の小さな店 | 雰囲気は店ごとにはっきり違う | 静かに過ごしたい日 |
どれが正解ということはなくて、その日の気分と財布で決めればいいです。初めての一人飲みでいきなり常連ばかりの小さな店に入るのは、勇気が要ります。ウェブで価格まで見られる店で一度慣れてから、という順番のほうが長続きしやすいように思います。
お通しは最初の一杯の前に
一人で飲むとき、会計で意外に効いてくるのがお通しです。二杯と二皿で切り上げるつもりでも、お通しが付く店ではその分が必ず加わります。
メニューや店頭、店のサイトにお通しの有無と金額が書かれていれば、最初の一杯を頼む前に予算が読めます。書かれていなければ、席に着く前に聞いてしまってかまいません。聞きにくいと感じる人もいるかもしれませんが、失礼になるような質問ではないと思います。
開店直後という選択
同じ店でも、開店直後と混む時間とでは入りやすさがだいぶ違うはずです。開店直後なら席に余裕があることが多く、店の人とも話しやすい。おすすめやお通しのことを聞きたい日は、この時間が向いています。
グループの客が増える時間はカウンターが埋まりやすいので、少しずらして入るのも一つの手です。遅めに行くか早めに行くかは、店の閉店時間を見てから決めてください。
煙の数字を見ておく
東京都の「とうきょう健康ステーション」によると、過去1年間に飲食店で受動喫煙の機会があった人の割合は、令和7年度で19.2%でした。職場は4.4%です。東京都受動喫煙防止条例や改正健康増進法の全面施行直後の令和元年度と比べると減っている、と同じページに書かれています。
同じページには、令和7年の20歳以上の喫煙率が東京都全体で14.7%、男性22.5%、女性7.3%とあります。吸う人はおよそ7人に1人なのに、飲食店で煙に出会った人はおよそ5人に1人。この差を見ると、店の煙の扱いを入る前に確かめたくなる気持ちは分かります。
受動喫煙が原因で亡くなる人は年間約1万5千人と推計されている、という記述もそのページにあります(推計の元になった資料はページに書かれていません)。煙が苦手なら、店頭の喫煙に関する表示を見てから入るのがいちばん簡単です。
居酒屋という商売の今
日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査 令和7年(2025年)年間結果報告」(2026年1月26日公表。協会の会員社を対象にした、新規店を含む全店データで、前年比は税抜の比較)では、居酒屋の数字はこうなっています。
| 項目 | 前年比 |
|---|---|
| 売上高 | 104.4% |
| 店舗数 | 99.8% |
| 客数 | 101.9% |
| 客単価 | 102.4% |
店の数はほぼ横ばいで、客数は少し増え、客単価も上がっています。客単価はメニューの値段だけで決まるものではありませんが、一人で行く側としては、同じ店でも前に行ったときより少し高くつくかもしれない、と見ておいたほうがよさそうです。メニューの価格を見て、飲む杯数を先に決めておくと安心です。
単独世帯は2015年から2020年で14.8%増え、居酒屋の店舗数は2025年に前年比99.8%でほぼ横ばいです。年も調査も別の数字なので、並べて結論を出すことはできません。一人客向けの席や小さな皿が増えていくかどうかは資料からは分からないので、店ごとに見ていくことになります。
やりがちなこと
- グループの客が中心の店に一人で入って、居心地が悪くなる
- お通しの金額を確かめずに、思ったより会計が高くなる
- 閉店時間を見ずに行って、短い時間しかいられない
- 混む時間に行って、カウンターが埋まっている
- 年末や年度替わりの宴会の時期に行って、予約の客で入れない
お酒は20歳から。二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律は、二十歳未満の人の飲酒を禁じ(第1条第1項)、酒類を販売・供与する営業者に年齢の確認などの措置を求めています(第1条第4項)。店で年齢を聞かれることがあるのは、そのためです。飲んだら運転しない、は言うまでもないことで、電車で来れば済む話です。
一人飲みで迷いやすいこと
一人飲みが初めてでも入りやすい店はあるか
メニューや価格、お通しの扱いをウェブや店頭で先に確かめられる店は、予算が読めるので初めてでも入りやすいです。カウンター席があるかも合わせて見ておいてください。
女性一人でも入りやすい店の特徴は
外から店内の様子が見える造りで、カウンター席が中心の店なら、入る前に雰囲気を確かめられます。混む時間を避けると席も選びやすいです。
短時間だけ利用したい場合はどう選べばよいか
立ち飲みの店や、お通しのない店は一杯だけでも頼みやすいです。お通しのある店では、その分も含めて予算を考えておいてください。
予約は必要か
カウンターだけの小さな店は席が限られるので、混みそうな時間なら予約しておくと安心です。一人の予約を受けるかどうかは店によるので、電話で聞いてみてください。
お通しを断ることはできるか
店の方針しだいで、断れる店も断れない店もあります。気になるなら席に着く前に、お通しの有無と金額を聞いておくのが確実です。
常連客が多い店に一人で入っても大丈夫か
カウンターで一人客を前提にしている店なら、初めてでも過ごしやすいことが多いです。開店直後など空いている時間に入ると、店の人とも話しやすくなります。
荻窪や高円寺以外にも一人客向けの店は増えているか
駅ごとに店の数を比べられる資料は、ここでは示せません。どの駅でも、カウンターの有無やお通しの扱いなど同じ見方で探せば、一人で入れる店は見つけやすくなると思います。
開店直後に行くと何が違うか
席に余裕があることが多く、店の人とも話しやすいはずです。初めての店で、おすすめやお通しのことを聞きたいときに向いています。
夏と冬でおすすめの過ごし方は変わるか
季節より、宴会が集中する時期かどうかのほうが入りやすさに響きます。年末や年度替わりは予約の客で埋まりやすいので、一人で行くなら空いている時間を選んでください。
出典
- 単独世帯の割合(2015年34.6%、2020年38.1%、2015年比14.8%増)、男性25〜34歳の単独世帯の割合28.8%:総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」 https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_01.pdf (確認日2026-11-03)
- 居酒屋の前年比(売上高104.4%、店舗数99.8%、客数101.9%、客単価102.4%):日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和7年(2025年)年間結果報告」(2026年1月26日公表) https://www.jfnet.or.jp/wp/wp-content/uploads/2026/01/nenkandata-2025.pdf (確認日2026-11-03)
- 飲食店で受動喫煙の機会があった人の割合(令和7年度19.2%、職場4.4%、令和元年度より減少)、20歳以上の喫煙率(令和7年、東京都全体14.7%、男性22.5%、女性7.3%)、受動喫煙による死亡の推計(年間約1万5千人):東京都「とうきょう健康ステーション 喫煙・受動喫煙」 https://kenko-station.metro.tokyo.lg.jp/category2/kitsuen/index.html (確認日2026-11-03)
- 二十歳未満の者の飲酒の禁止(第1条第1項)、営業者の年齢確認等の措置(第1条第4項):二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC1000000020 (e-Gov法令検索、確認日2026-11-03)
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