仕事帰りに一杯だけ、と思ったときに寄りやすいのが立ち飲みの店です。椅子がない分だけ狭い店でも人が入れて、回転も速くなりやすい。値段を抑えやすいのはそのためだと思いますが、もう一つ、仕入れる酒にかかる税も値段に関わってきます。
酒屋の店先で飲む角打ちから、一品料理に力を入れる立ち飲み居酒屋、ワインのスタンディングバーまで、立ち飲みと一口に言っても形はいろいろです。2026年10月には酒税も変わったので、値札の見方も少し変わります。
椅子がないことで何が変わるか
立ち飲みは、椅子を置かずにカウンターや立ち机で飲食するスタイルです。椅子がないと、同じ広さでも受け入れられる人数が増えますし、客の側も短い時間で切り上げやすくなります。一杯だけ飲んで帰る、何軒かはしごする、という使い方に向いているのはそのためです。
逆に言うと、ゆっくり腰を据えて話したい日には向きません。長居が前提の飲み会なら、最初から椅子のある店を選んだほうがお互いに楽だと思います。
四つの型と、その使い分け
| タイプ | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 角打ち | 酒屋の店先や一角で、売っている酒を飲む | 気取らず一杯だけ飲みたい |
| 立ち飲み居酒屋 | 刺身や煮込み、串焼きなど一品料理に強みがある | 料理も楽しみたい |
| スタンディングバー | ワインやハイボールなど洋酒が中心 | 仕事帰りに軽く一杯 |
| 立ち飲みチェーン | 複数店を展開し、価格表が分かりやすい | 初めてでも入りやすい店を探す |
初めて立ち飲みに入るなら、価格表がはっきりしているチェーンか、料理の品書きが外から見える立ち飲み居酒屋が入りやすいと思います。角打ちは酒屋の延長なので、酒そのものを楽しむ気分の日に向いています。
角打ちについては中央線沿線の角打ち文化で、ワインや小皿料理のスタンディングの店についてはバル・スペイン料理店の傾向で詳しく書いています。
はしごの組み立て、会計、立ち位置
店ごとに役割を決める
一軒目は乾杯だけ、二軒目は一品料理を目当てに、というように役割を決めておくと、短い時間でも満足しやすいです。全部の店で同じように頼むと、三軒目あたりで量が多すぎたことに気づきます。
会計の方法
現金のみの店や、注文ごとにその場で払う店もあります。小銭を用意しておくとやり取りが軽く済みます。
場所の譲り合い
立ち飲みは限られたスペースをほかの客と分け合う場です。混んでいるときは荷物を足元に置き、長居を控えると気持ちよく使えます。
常連の多い店での入り方
初めての店では会話の輪に無理に入らず、一杯と一皿で店の空気を見るくらいがちょうどいいです。二度目からは顔を覚えてもらえることもあります。
ビールは下がり、チューハイや麦芽の少ない発泡酒は上がった
国税庁の手引きによると、ビール系飲料(ビール、発泡酒、いわゆる新ジャンル)の税率は、平成29年度の税制改正で1キロリットルあたり155,000円に統一することになりました。急な変更を避けるため、令和2年10月、令和5年10月、令和8年10月の三段階で動かしてきました。最終段階の2026年(令和8年)10月に、155,000円(350ml換算54.25円)にそろいました。
| 区分(350ml換算) | 2026年9月まで | 2026年10月から | 差 |
|---|---|---|---|
| ビール | 63.35円 | 54.25円 | 9.1円の減税 |
| 発泡酒(麦芽比率25%未満)・新ジャンル | 46.99円 | 54.25円 | 7.26円の増税 |
| チューハイなど(ホップ等を原料としない発泡性酒類) | 28円 | 35円 | 7円の増税 |
350ml換算の金額は、1キロリットルあたりの税率から計算したものです。表にはありませんが、麦芽比率25%以上50%未満の発泡酒は58.49円から54.25円に下がっています。ビールは下がって、税の低かったチューハイや麦芽の少ない発泡酒、新ジャンルは上がった、と覚えておけば大筋は合っています。
低価格を打ち出す店は、発泡酒系やチューハイで単価を抑えていることがあります。今回の改定はその組み立てに関わるので、価格表を見直した店があってもおかしくありません。
税率が変わっても、それをどこまで値段に反映するかは店ごとの判断です。ビールが安くなったはず、と決めつけて行くとずれることがあるので、店の価格は各店の最新の案内で確かめてください。
年齢を聞かれる理由
二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律第1条は、酒を出す営業者が二十歳未満の人の飲用と知って酒を販売・供与することを禁じ、年齢の確認などの必要な措置を講じるよう定めています。販売・供与の禁止に違反した営業者には50万円以下の罰金があります(第3条)。
立ち飲みの店で年齢を聞かれたり身分証の提示を求められたりするのは、この決まりに沿ったものです。若く見える人は身分証を持って出かけると、入口でのやり取りが一言で済みます。ここでの説明は制度の概要で、法的な助言ではありません。
初めての店で気になること
立ち飲み店にはひとりで入っても大丈夫ですか
短い時間だけ一人で寄る使い方に向いた、入りやすいスタイルです。
滞在時間の目安はどれくらいですか
決まりはありません。一、二杯で切り上げて次の店へ移るくらいの気持ちで入ると合いやすいです。混んでいるときは長居を控えてください。
予約は必要ですか
予約を受けない店もあり、当日に立ち寄るのが基本と考えておくとよいと思います。大人数の場合は事前に店に確かめてください。
クレジットカードは使えますか
店によって違います。現金のみの店もあるので、現金を用意しておくと困りません。
角打ちと立ち飲み居酒屋の違いは何ですか
角打ちは酒屋の店先や一角で飲むスタイル、立ち飲み居酒屋ははじめから飲食店として営業する店です。どちらも立って飲む点は同じです。
2026年10月の酒税改定で立ち飲みの値段は変わりましたか
酒税は350ml換算で、ビールが9.1円下がり、麦芽比率25%未満の発泡酒と新ジャンルは7.26円、チューハイなどは7円上がりました。店がどこまで価格に反映するかは店ごとに違います。
年齢確認をされるのはなぜですか
二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律で、酒を出す営業者に年齢確認などの措置が求められているためです。
昼から飲める店はありますか
昼から営業する店もあります。営業時間は各店の最新の案内で確かめてください。
一杯だけのつもりで
2026年10月の酒税の変更で、発泡酒系やチューハイの安さを売りにする店は、値段の組み立てを変えたところもあるかもしれません。値札は前に来たときと同じとは限らないので、入るときに一度見ておいてください。
会計の方法と場所の譲り合いさえ押さえておけば、初めての店でも気軽に一杯楽しめます。一杯だけのつもりで入って、気に入ったらもう一杯。そのくらいの距離感が、この飲み方には合っていると思います。
あわせて読みたい:バル・スペイン料理店の傾向、中央線沿線で広がるスタンディング文化、中央線沿線の角打ち文化、酒屋で一杯するという楽しみ方
出典
- 国税庁「発泡性酒類の段階的な税率変更に係る品目及び税率適用区分の表示方法の手引き」(令和5年8月。平成29年度の税制改正と三段階の経過措置、ビール系飲料の令和8年10月の一本化、区分ごとの税率表。2026年11月3日確認) https://www.nta.go.jp/taxes/sake/pdf/0023008-027.pdf
- 酒税法 第23条(発泡性酒類とその他の発泡性酒類の税率、e-Gov法令検索、2026年11月3日確認)
- 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律 第1条・第3条(e-Gov法令検索、2026年11月3日確認)
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