業界・制度動向

中央線沿線の飲食店に見るSNS運用の傾向

インターネットを使う人のうち、SNSを使っている人は82.3%。総務省の令和7年通信利用動向調査(2026年5月29日公表、調査時点は2025年8月末)の数字で、前年の81.9%からまた少し上がりました。ネットを使う人の八割がSNSを開いているなら、店の情報がそこに流れるのは自然な成り行きです。

飲食店の側は、臨時休業はXで、新しい品書きの写真はInstagramで、常連への案内はLINEで、という具合に媒体を分けて使う店があります。見る側がその分け方を知っていると、同じ店の情報でもどこを見に行けばいいかが分かります。

年代で見るSNSの広がり

年齢層 SNS利用率(令和7年)
全体 82.3%
13〜19歳 92.9%
20〜29歳 93.1%
30〜39歳 90.6%
40〜49歳 91.3%
50〜59歳 86.4%
60〜69歳 78.3%
70〜79歳 67.9%
80歳以上 54.3%

どの数字もインターネット利用者に占める割合で、SNSにはFacebook、X、LINE、Instagramなどが含まれます。13歳から49歳までは9割を超え、50歳以上は年齢が上がるごとに下がっていきますが、60代でも78.3%、80歳以上でも半分を超えています。常連の年齢が高い店でも、SNSで案内を出す意味が薄いとは言い切れない数字です。

使う目的(複数回答)は「従来からの知人とのコミュニケーションのため」が86.6%で最も多く、「知りたいことについて情報を探すため」が66.0%で続きます。三人に二人が調べものにSNSを使っているなら、店を探す場面でSNSを開く人も少なくないはずです。

店の側から見たSNS

Instagram、X(旧Twitter)、LINE公式アカウントは、チラシや看板に比べて始めやすい手段です。広告費をかけにくい個人店が、品書きや営業の状況、店の空気を外に出すのに向いています。開いたばかりで口コミがまだ少ない時期に、店の存在を知ってもらう入口にもなります。

投稿の中身は、日替わりの品書き、仕込みの様子、食材の入荷、季節限定の告知などさまざまです。写真や短い動画で雰囲気を伝える店もあれば、店主が日記のように近況を書く店もあります。専任の担当を置けない店なら、店主や従業員が営業の合間に更新することになるので、更新の間隔は店によって違ってきます。

更新が止まっている店を見て「やる気がない」と思うのは早いです。仕込みと接客で手一杯なら、画面に向かう時間はなかなか取れません。投稿が少ないことと店の中身は別の話だと思っておくほうが、見る側の判断は落ち着きます。

媒体ごとに得意なことが違う

媒体 主な使い方 発信の特徴 見る側の利点
Instagram 写真と動画で見せる 料理や店内の雰囲気を前に出す投稿が中心 来店前に見た目の印象をつかめる
X(旧Twitter) 速報 臨時休業や当日の空席など、その場の情報 直前の営業状況が分かる
LINE公式アカウント 既存の客への案内 クーポンや予約案内など個別性の高い発信 特典を見逃しにくい
Googleビジネスプロフィール 検索からの来店 営業時間や口コミの掲載が中心 初めての店の基本情報を確かめやすい

急ぎの臨時休業はXで、じっくり見せたい新しい品書きの写真はInstagramで、というように、複数の媒体で中身を変える店もあります。表はあくまで傾向ですが、見る側は知りたいことに合わせて開く媒体を変えると早く着きます。今日開いているかを知りたいならX、どんな料理かを知りたいならInstagram、という具合です。

見る側ができる確かめ方

最終投稿の日付を見る

アカウントがあっても、更新が長く止まっていれば今の営業状況とは合っていないかもしれません。最終投稿の日付を見て、直近の情報かどうかを確かめるのが最初の一歩です。

公式サイトや地図アプリと照らし合わせる

営業時間は、グルメ媒体や地図アプリと店の公式の案内で食い違うことがあります。SNSのほうが新しいこともあれば、SNSの更新が止まって地図アプリのほうが新しいこともある。複数の情報源を突き合わせて、食い違うときは店の公式の発信を優先するのが無難です。

写真は雰囲気をつかむ材料にとどめる

撮影のために盛り付けた写真と、実際に出てくる料理の印象が違うことはあります。写真は空気をつかむためのもので、量や値段は品書きで確かめるほうが確実です。

臨時の情報は当日の朝に見る

臨時休業や営業時間の変更は、当日になってSNSで知らされることがあります。行く日の朝に一度見ておくと、着いてから閉まっていたという行き違いを防げます。

フォロワー数だけで決めない

フォロワー数やいいねの数は、広告や一時の話題で伸びることがあります。投稿の具体性、続き具合、コメント欄でのやり取りの様子を合わせて見るほうが、店の実態に近づけます。数が多い店より、返事が丁寧な店のほうが行ってみたくなる、という人は少なくないと思います。

広告だと分からない投稿は、景品表示法違反

SNSの投稿を見るうえで、2023年10月1日から始まった規制を知っておくと見え方が変わります。消費者庁によると、景品表示法の指定告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」によって、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものが規制の対象になりました。いわゆるステルスマーケティングの規制です。

消費者庁の案内では、ここでいう広告には、企業がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示するものも含まれます。SNSの投稿やレビューの投稿に限らず、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌などの表示も対象です。個人の感想など広告でないものや、テレビCMのように広告だと分かるものは対象外とされています。

場面 扱い
店が自分のアカウントで発信する 店の発信だと分かる形なら、問題になりにくい
店が依頼や指示をして第三者に投稿してもらう 広告に含まれるので、広告だと分かるようにする必要がある
客が自分の意思で投稿する 店の依頼や指示がない個人の感想は、対象外

消費者庁の案内では、景品表示法の対象となるのは事業者だけで、企業から依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は規制の対象になりません。依頼して投稿してもらう店の側が問われる形です。どこからが依頼や指示にあたるかの細かい線引きは、消費者庁の案内で確かめてください。ここに書いたのは制度の要点で、個別の事案についての法的な助言ではありません。

見る側にとっての意味は単純で、店に頼まれた投稿には広告だと分かる表示があるのが本来の形だということです。逆に、表示がないからといって、店と無関係の投稿だと言い切れるわけではありません。画面からは分からないこともあるので、絶賛の投稿が並んでいても、それだけで決めないくらいがちょうどいいと思います。

見る側でよくある行き違い

  • Instagramの写真だけ見て行ったら、その品はもう出していなかった。投稿の日付を見る
  • 地図アプリの営業時間を信じて行ったら閉まっていた。店の公式の発信と突き合わせる
  • Xの臨時休業の告知を見逃した。行く日の朝にもう一度開く
  • フォロワーの多さで選んだら、店の雰囲気が合わなかった。投稿の中身とコメント欄のやり取りを見る
  • LINEの登録を忘れて、常連向けの案内を受け取れなかった。気に入った店は登録しておく

SNSを見ていて引っかかるところ

中央線沿線の飲食店はどのSNSを使っている店が多いですか。

沿線の店だけを数えた統計は見当たりません。一般には、写真で見せたいならInstagram、速報を出したいならXが向いていて、両方を使う店もあります。

SNSをやっていない店は情報発信に消極的なのでしょうか。

そうとは限りません。常連が中心で新しい客を強く求めていない店や、店頭や電話での案内を基本にしている店もあります。

SNSの情報と実際の営業時間が食い違うことはありますか。

あります。更新が後回しになる店もあり、地図アプリやグルメ媒体の情報とも食い違うことがあります。気になるときは電話で確かめるのが確実です。

フォロワー数が多い店ほど良い店といえますか。

フォロワー数は知られている度合いの目安にはなりますが、味や接客の質と直接つながるとは限りません。投稿の中身や続き具合も合わせて見てください。

SNSでクーポンや割引情報は配信されていますか。

LINE公式アカウントで登録者向けの割引や特典を案内する店もありますが、やるかどうかは店ごとに違います。

投稿のコメント欄で質問しても返信はもらえますか。

店の体制によります。営業中は返事が遅れることもあるので、急ぎの用件は電話で問い合わせるほうが確実です。

店から頼まれて投稿する場合、何か表示が必要ですか。

消費者庁の案内では、企業が第三者に依頼・指示する投稿も広告に含まれ、一般消費者が広告だと分からない形は景品表示法の規制対象です。広告だと分かる表示が要ります。規制の対象は事業者で、依頼を受けた第三者は対象になりません。

画面を閉じる前に

SNSはネットを使う人の八割が開く道具になり、店の情報もそこに流れています。速報はX、写真はInstagram、常連向けはLINE。そんな傾向を知っておくと読み解きやすく、最終投稿の日付を見て、食い違いがあれば店の公式を優先する。それだけで行き違いはだいぶ減ると思います。広告だと分からない投稿は2023年10月から景品表示法違反なので、頼まれた投稿には表示があるのが本来の形です。

出典

  • 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」(令和8年5月29日公表、調査時点は令和7年8月末。SNSの利用動向(個人)の利用率、年齢別の利用率、利用目的。インターネット利用者に占める割合)(2026年11月3日確認) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/260529_1.pdf
  • 消費者庁「ステルスマーケティング」(令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。指定告示の名称、規制の対象、第三者への依頼・指示を含むこと、対象媒体、対象は事業者だけであること)(2026年11月3日確認) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/

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