紅茶の店を探すとき、口コミのほかにもう一つ、協会の認定という物差しがあります。日本紅茶協会の「おいしい紅茶の店」です。
認定と聞くと堅苦しく感じるかもしれません。けれど協会のサイトで都道府県から探せて、店ごとにカテゴリーと認定の年が書いてあるので、知らない街で紅茶を飲みたい日の当てにはなります。中央線沿線では、西荻窪のTea&Cake Graceが1991年に認定された店として載っています。
協会が毎年見直している認定
協会の案内によると、「おいしい紅茶の店」は全国の紅茶が楽しめる店の中から広く推薦を受け、協会が独自の基準に沿って調査し、合格した店を認定登録する制度です。1988年に始まり、毎年調査を行って更新しています。案内の掲載は2025年11月現在のものです。
長くおいしい紅茶を出し続けている店には「永年表彰店(アワード店)」として感謝状が贈られています。毎年見直される認定の中で長く残っている、という事実そのものが、店の安定ぶりを物語っていると思います。
注意書きも一つあります。突然の臨時休業や閉店は反映していないので、店に直接確かめるように、と協会は書いています。認定の一覧は地図ではなく名簿だと思っておくのがちょうどいいです。
三つのカテゴリーの読み方
| カテゴリー | 協会の説明 | こんな日に |
|---|---|---|
| プレステージ | 厳選された専門店やティールーム。本格的に、優雅に紅茶を楽しめる店 | 紅茶そのものをじっくり味わいたい日 |
| オーセンティック | 紅茶メニューが充実し、しっかり味わったりゆっくり楽しんだりできる店。レストランやホテルロビーも含む | 食事や会話と一緒に紅茶を楽しみたい日 |
| カジュアル | 気取らず手軽においしい紅茶が楽しめる店。相性のよいフードと出す店も含む | 散歩の途中や軽い休憩に |
上から順に格が高い、という読み方はしないほうがいいと思います。場面が違うだけです。ゆっくり座りたい日にカジュアルの店へ行けば物足りないかもしれませんし、買い物の合間にプレステージの店へ入ると時間が足りなくなります。
一つ迷うのは、オーセンティックにレストランやホテルのロビーまで含まれていることです。紅茶専門店を思い浮かべて行くと、思っていた店の形と違うことがあります。店のページの住所や説明まで読んでから出かけたほうが外しにくいです。
西荻窪の認定店
協会の店ページによると、Tea&Cake Graceは東京都杉並区西荻南3-16-6、JR西荻窪駅から徒歩5分で、1991年認定です。協会サイトの検索結果では、カテゴリーはオーセンティックで、永年表彰店(アワード店)を示す「AW」の印も付いています。
1991年の認定が2025年11月の一覧にまだ載っているということは、単純に数えて三十回を超える調査を通ってきたことになります。これはなかなかのことです。
店の様子はTea&Cake Graceの記事に書いてあります。
メニューの産地名をどう読むか
紅茶のメニューには、産地の名前が並んでいることがあります。産地ごとの味の違いを言葉で言い切るのは難しくて、同じ名前でも店や茶葉で印象は変わるものです。協会の説明にも、同じ産地の同じ茶園のものでも収穫期によって香り、色、味が異なるとあります。産地ごとの味を表にして断定する気にはなれません。
店で確かめられることのほうが、選ぶ手がかりとしては確かです。
| 確かめる軸 | 見るところ | 分かること |
|---|---|---|
| 産地や茶葉の表記 | メニュー、茶葉の缶やラベル | 産地名や茶葉の名前を書いている店かどうか |
| 出し方 | メニュー | ポットで出るか、一杯ずつか |
| 茶葉の販売 | 店内の棚、レジのまわり | 飲んで気に入った茶葉を買って帰れるか |
| 協会のカテゴリー | 協会のサイト | プレステージ、オーセンティック、カジュアルのどれか |
| ミルクの用意 | メニュー、店の人 | ミルクティーにできるか |
迷ったら店の人に、渋みは強いほうがいいか、ミルクを入れるか、香りの華やかなものがいいか、を伝えて選んでもらうのがいちばん早いです。産地の名前を覚えるのは、その後で十分だと思います。
家で店の味に近づける手順
協会はリーフティーの基本のいれ方を「ゴールデンルール」として紹介しています。店で飲んだ茶葉を買って帰ったら、この手順で試すと、店との違いがどこにあるのか分かりやすくなります。
- 汲みたての水を沸かし、5円玉くらいの泡がボコボコ出るまで沸騰させる
- ポットとカップに湯を注いで温めておく
- 茶葉はティースプーン1杯(2〜3g)を1人分とし、細かい茶葉は中盛、大きい茶葉は大盛にする
- 沸騰直後(100℃)の湯を、1杯150〜160mlを目安に注ぎ、すぐにふたをする
- 蒸らし時間は細かい茶葉で2分半〜3分、大きい茶葉で3〜4分(ミルクティーのときはやや長めに)
- ポットの中をスプーンで軽くひとまぜし、茶こしでこしながら、濃さが均一になるようにまわし注ぐ
| 項目 | 協会の目安 |
|---|---|
| 茶葉の量 | ティースプーン1杯(2〜3g)で1人分 |
| 湯の量 | 1杯150〜160ml |
| 湯の温度 | 沸騰直後(100℃) |
| 蒸らし(細かい茶葉) | 2分半〜3分 |
| 蒸らし(大きい茶葉) | 3〜4分 |
協会の説明では、ポットは陶磁器・銀製・ガラス製を使い、鉄分を含むポットは避けるとされています。紅茶のタンニンが鉄分と結びついて香味を損ない、色が黒っぽくなるためです。ミルクティーには普通の牛乳を温めずに使い、コーヒー用のクリームは避けるようにとも書かれています。
家で同じ手順を踏んでも店の味にならないことはあります。茶葉の鮮度か、水か、分量か。原因を一つずつ疑えるのが、手順が決まっていることの利点です。
店での小さな工夫
- ミルクティーにしたいなら、注文のときに先に伝える。茶葉を選んでもらいやすい
- ポットで出る店では、二杯目をどう飲むのがいいか店の人に聞いてみる
- 茶葉を売っている店では、飲んで気に入ったものをそのまま買える
- カフェインを控えたい日は、紅茶以外の飲み物の欄があるかメニューで見る
紅茶とハーブティーの両方がメニューにある店では、別の欄に分かれていることもあります。原料や飲み方の違いは店の説明や茶葉のラベルに書いてあるので、気になったらそこで確かめてください。
残念になりやすいこと
- 缶の見た目で茶葉を選んで、好みと合わなかった。店で一杯飲んでから買えば防げる
- ケーキやサンドイッチのセットを頼もうとしたら、予約が要ると言われた。セットの扱いは先に店へ聞く
- 協会の一覧だけ見て出かけたら、その日は休みだった。協会も店へ直接確かめるよう書いている
- 紅茶専門店のつもりで行ったら、ホテルのロビーだった。カテゴリーの説明と店のページを先に読む
認定と店選びで聞かれそうなこと
「おいしい紅茶の店」とは何ですか
日本紅茶協会が1988年から続けている認定制度です。推薦を受けた店を協会の基準で調査し、合格した店を登録して、毎年調査を行って更新しています。
3つのカテゴリーはどう違いますか
プレステージは本格的な専門店やティールーム、オーセンティックは紅茶メニューが充実した店(レストランやホテルロビーを含む)、カジュアルは気軽に楽しめる店です。序列というより、場面の違いと読むのが自然だと思います。
初心者はどの産地から試すとよいですか
産地の名前で選ぶより、渋みの強さやミルクを入れるかどうかなど好みを店の人に伝えて、選んでもらうのが確実です。同じ産地でも店や茶葉で印象は変わります。
紅茶とハーブティーは何が違いますか
日本紅茶協会の説明では、紅茶はカメリア・シネンシスの葉から作られ、萎凋、揉捻、発酵、乾燥の工程を経るお茶です。ハーブティーの原料は品によって違うので、店の説明や茶葉のラベルを見てください。カフェインを控えたいなど目的があれば、店に聞くのが確実です。
出典
- 「おいしい紅茶の店」の制度(1988年開始、毎年更新、3つのカテゴリーと説明、永年表彰店、2025年11月現在の掲載、臨時休業・閉店は反映しない旨):日本紅茶協会「おいしい紅茶の店ご案内」 https://www.tea-a.gr.jp/shop/ (確認日2026-11-03)
- リーフティーのいれ方(ゴールデンルール、茶葉の量、湯の量と温度、蒸らし時間、注ぎ方、ポットの材質、ミルクの扱い):日本紅茶協会「紅茶のいれ方」 https://www.tea-a.gr.jp/make_tea/ (確認日2026-11-03)
- Tea&Cake Graceの認定(1991年)、住所、JR西荻窪駅徒歩5分:日本紅茶協会 https://www.tea-a.gr.jp/shop/authentic/549/ (確認日2026-11-03)
- Tea&Cake Graceのカテゴリー(オーセンティック)と「AW」の印:日本紅茶協会「おいしい紅茶の店ご案内」の検索結果 https://www.tea-a.gr.jp/shop/?s=Grace (確認日2026-11-03)
- 収穫期による違い、紅茶の原料と工程:日本紅茶協会「紅茶の製造」 https://www.tea-a.gr.jp/knowledge/tea_production/ (確認日2026-11-03)
休憩の店をほかにも
コーヒー、お茶、甘いものの記事です。