ユネスコの無形文化遺産になっているのは、ナポリピッツァという食べ物そのものとは少し違います。記載されているのは、生地の準備から薪窯での焼き上げまでにかかわる「ナポリのピッツァ職人(ピッツァイウオーロ)の技」です。2017年の第12回政府間委員会で、人類の無形文化遺産の代表一覧表に記載されました。
ピザの店と一口に言っても、薪窯で焼くナポリピッツァの店から、宅配や持ち帰りが中心の店まで、性格はかなり違います。どの店に向かうかは、焼きたてをその場で食べたいのか、家で気楽に食べたいのかで決まってきます。
焼き方と提供の形。この二つで店を分けておくと、選ぶときに迷いません。
焼き方と提供の形で分ける
| タイプ | 特徴 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 薪窯のナポリピッツァ | 薪窯で焼き上げる。窯が見える造りの店もある | 店内で焼きたてを食べたいとき |
| オーブン焼きのピザ | 持ち帰りに対応する店もある | 家で気軽に食べたいとき |
| 宅配専門 | セットや複数枚の注文がしやすい | 人が集まる日の食事 |
| パスタなどと並べる食堂型 | ピザ以外の料理と一緒に頼める | ランチや家族での食事 |
焼きたての香ばしさを一番に考えるなら薪窯の店で店内、家で食べる気軽さを優先するならオーブン焼きや宅配。こう分けてしまえば、候補はすぐ半分になります。
迷うのは、家族の中で希望が割れるときです。店内で焼きたてを食べたい人と、家でゆっくり食べたい人がいるなら、持ち帰りに対応している薪窯の店を探す手もあります。ただし焼きたての状態は店を出た瞬間から変わっていくので、そこは割り切りが要ります。
ユネスコの説明に書かれていること
ユネスコの無形文化遺産のページによると、ナポリのピッツァ職人の技は、生地の準備と薪窯での焼き上げに関わる四つの段階からなる料理の実践で、職人が回すような動きを伴います。発祥はカンパーニア州の州都ナポリで、今もおよそ3,000人のピッツァ職人(ピッツァイウオーリ)が暮らし、仕事をしています。
担い手は、マスター・ピッツァイウオーロ、ピッツァイウオーロ、窯の焼き手の三つに分かれるほか、ナポリの家庭でもこの技が受け継がれていると書かれています。知識と技は主に「ボッテーガ」と呼ばれる店の現場で伝わり、若い見習いが親方の仕事を見ながら覚えるそうです。ナポリ・ピッツァイウオーリ協会は毎年、歴史や道具、技術に関する講座を開いているとも紹介されています。
ユネスコの説明では、この技が人が集まり、世代をこえて交流する場を育んでいる点にも触れています。職人がボッテーガの中心で技を分かち合う、見せ物のような性格があるというのです。カウンター越しに窯と職人の手元が見える店は、その「見せる」楽しさに通じる造りだと思います。
ナポリには「真のナポリピッツァ協会(AVPN)」という団体もあります。公式サイトでは、加盟店(pizzeria affiliata)がAVPNの国際規定(disciplinare internazionale)に沿ったピッツァを作ることを示す仕組みや、入門・上級・オンラインの講座を案内しています。店がこうした団体への加盟を掲げていれば、ナポリの作り方にこだわる店を探すときの目印の一つになります。
窯の違いと生地の違い
薪窯、ガス窯、電気窯。どれで焼くかは、店の紹介や、窯が見える造りかどうかで確かめられます。焼き上がりの性格は窯と生地の作り方の組み合わせで変わるので、同じ薪窯でも店ごとに仕上がりは違うはずです。
| 確かめること | 見る場所 |
|---|---|
| 窯の種類 | 店の紹介文、店内の窯の見える位置 |
| 生地の厚さと縁のふくらみ | 店が載せている写真、メニューの説明 |
| 団体の加盟や認定 | 店頭の掲示や公式サイトの表記 |
ナポリ風とローマ風
一般にナポリ風は縁がふっくら膨らみ、中心はやわらかい生地として語られ、ローマ風は薄くパリッとした生地として語られます。どちらの名前を掲げているかで、出てくるものの厚さはかなり変わります。薄い生地を想像して頼んだら縁の厚いものが出てきた、という行き違いは、ここを見ておけば防げます。
マルゲリータの名前について
定番の「マルゲリータ」は、イタリアの王妃マルゲリータにちなむという逸話が広く語られています。トマトの赤、モッツァレラの白、バジルの緑でイタリア国旗を表した、という話です。
ただ、この逸話を裏づける記述は、ユネスコや協会の公式ページには見当たりません。話としては楽しいので、由来の確かな説というより、逸話として覚えておくくらいがちょうどいいと思います。
注文の前に見ておくこと
- 焼き方(薪窯・ガス窯・電気窯)は、店の紹介や窯の見える造りで確かめられる
- 一枚を分けて頼める形(ハーフ&ハーフなど)があるか
- 持ち帰りや宅配に対応しているか、配達のエリアと最低注文額
- 生地の厚さの好み(ナポリ風かローマ風か)
行き違いが出やすいのは三つです。薄い生地のつもりで頼んで縁の厚いナポリ風が出てきた。持ち帰って冷めたら食感が変わった。宅配が配達エリア外だった。どれも、店の紹介を一度読み、注文前に住所を入れて配達の可否を見ておけば避けられます。
ピザの店で聞かれること
ナポリ風とローマ風は何が違いますか
一般に、ナポリ風は縁が膨らみ中心がやわらかい生地、ローマ風は薄くパリッとした生地として語られます。店がどちらを掲げているかで厚さが変わるので、紹介文を見てから頼んでください。
ナポリのピッツァがユネスコ無形文化遺産というのは本当ですか
記載されたのは「ナポリのピッツァ職人の技」です。2017年に人類の無形文化遺産の代表一覧表に記載されました。
薪窯のピザは持ち帰りに向きますか
焼きたての香ばしさや縁のふくらみは時間が経つと変わりやすいので、店内で食べるのが一番だと思います。持ち帰るなら、その変化を承知のうえで選んでください。
マルゲリータの名前の由来は何ですか
イタリアの王妃マルゲリータにちなむという逸話が広く知られています。ただし、裏づける記述はユネスコや協会の公式ページには見当たらないので、逸話として受け止めておけば十分です。
窯の前で見る楽しみ
ピザの店は、焼き方と提供の形で選ぶと外しにくくなります。焼きたてをその場で楽しむなら薪窯の店で店内、気軽さを優先するならオーブン焼きや宅配の店です。
ユネスコの説明には、職人が人前で技を見せるという性格も書かれていました。窯の見える席に座れたら、職人の手元を眺めるのも食事のうちです。だいぶ得をした気分になれます。
出典
- UNESCO Intangible Cultural Heritage "Art of Neapolitan 'Pizzaiuolo'"(2017年、第12回政府間委員会で記載。四つの段階、薪窯、約3,000人の職人、担い手の三区分、ボッテーガ、協会の講座、人が集まる場)(2026年11月3日確認) https://ich.unesco.org/en/RL/art-of-neapolitan-pizzaiuolo-00722
- 真のナポリピッツァ協会(AVPN)公式サイト(本拠はナポリ、加盟店制度、国際規定、入門・上級・オンラインの講座)(2026年11月3日確認) https://www.pizzanapoletana.org/
ジャンル別の店選び
料理のジャンルごとに、店の選び方を書いた記事です。