車で来た人、妊娠中の人、お酒が体に合わない人と、同じテーブルに飲まない人がいる日はそう珍しくありません。そのときソフトドリンクが数種類しかない店だと、飲まない人だけ選ぶ楽しみがなくなってしまいます。ノンアルコールビールのほかに、果物やハーブで作るモクテル(ノンアルコールのカクテル)を置く店もあるので、店の選び方で席の空気はずいぶん変わります。
店で「お車でお越しですか」と聞かれることがあるのも、お酒の席には決まりがあるからでしょう。道路交通法第65条第3項は、酒気を帯びて運転することになるおそれがある人に酒類を提供したり、飲酒をすすめたりすることを禁じています。
メニューのどこを見れば分かるか
充実しているかどうかは、公式サイトやメニューの写真で見当がつきます。
- メニューにノンアルコールの専用ページや欄があるか
- ノンアルコールビール、ノンアルコールスパークリング、モクテルなど種類に幅があるか
- 季節の果物やハーブを使った創作の飲み物があるか
- アルコール分の表示がメニューに書かれているか
- 価格が書かれているか
いちばん分かりやすい目印は、専用の欄があるかどうかだと思います。欄を作っている店は、飲まない人が来ることも考えてメニューを組んでいるはずなので。

写真は瓶とグラスで出てくる「飲むみかん」です。果物の名前がついた飲み物がメニューにあると、飲まない日の一杯を探すときの手がかりになります。お酒が入っているかどうかは名前だけでは決められないので、気になるときはメニューか店の人に聞いてみてください。
業態で出し方が変わる
| 業態 | 出し方の例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| カクテルバー | バーテンダーが作るモクテル | 記念日、一杯をゆっくり楽しみたいとき |
| 居酒屋 | ノンアルコールビールを飲み放題に含める形 | 大人数の宴会 |
| ダイニングバー | 料理に合わせたノンアルコールのペアリング | 会食、デート |
| カフェ | ハーブティーや果物の飲み物 | 昼の利用 |
価格は店によって大きく違うので、各店のメニューで確かめてください。
モクテルは、アルコールを含まないカクテル風の飲み物で、果物やハーブ、スパイス、炭酸などを組み合わせて作ります。カクテルと同じようなグラスで出してくれる店なら、飲む人と飲まない人が混ざる席でも、飲まない人の前だけオレンジジュースという絵にならずに済みます。
「1度未満」と「ゼロ」は同じではない
酒税法第2条は、アルコール分1度以上の飲料を酒類と定めています。国税庁のQ&Aもこの定義を載せていて、水などで薄めて1度以上にできるものや、水などで溶かして1度以上になる粉末も酒類に含むとしています。
ここから、アルコール分1度未満の飲料は酒税法の酒類にあたらないことになります。
気をつけたいのは、酒類にあたらないこととアルコールがゼロであることは別の話だという点です。1度未満という区分には、ゼロより大きくて1度に届かないものも入るので、この区分だけでは、アルコールがまったく入っていないかどうかまでは分かりません。
| 区分 | 酒税法の扱い | 見るところ |
|---|---|---|
| アルコール分1度以上 | 酒類にあたる | 酒税法第2条、国税庁のQ&A |
| アルコール分1度未満 | 酒類にあたらない | 酒税法第2条。ただし、ゼロかどうかは製品の表示で |
運転する日は、アルコール分がゼロと表示されているものを選ぶのが無難だと思います。「酒類ではない」という区分を、「飲んでも運転していい」と読み替えないようにしてください。
運転する日の数字
道路交通法第65条第1項は、酒気を帯びて車両等を運転することを禁じています。罰則の対象になる酒気帯びの程度は、道路交通法施行令第44条の3で、血液1mlにつき0.3mg、または呼気1Lにつき0.15mgと定められています。
ただ、警察庁のサイトにははっきりと、呼気中アルコール濃度が0.15mg/l未満でも酒気を帯びて車両等を運転することは法律で禁止されている、と書いてあります。罰則の数字を下回れば運転していい、という話にはなりません。
令和8年(2026年)7月21日に施行された道路交通法の改正では、酒酔い運転の要件に数値の基準が設けられました。改正後は、呼気中アルコール濃度0.5mg/l以上、またはアルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態が酒酔い運転の要件です。酒気帯び運転の要件は変更なし、と警察庁は書いています。改正のニュースで基準が変わったのか迷った人は、酒気帯びの数字はそのままだと覚えておけば足ります。
はじめに触れた第65条第3項は「何人も」で始まるので、店に限らず、同じ席の人にもかかります。運転する人に「一杯くらい」と言わないでください。
ここでの説明は制度の概要で、法的な助言ではありません。飲んだあとの体の反応は人によって違うので、心配なことがあれば医師や薬剤師に相談してください。
妊娠中の人がいるテーブル
厚生労働省のe-ヘルスネットの胎児性アルコール・スペクトラム障害の解説は、少量の飲酒でも、妊娠のどの時期でも影響を及ぼす可能性があることから、妊娠中の女性は完全にお酒をやめるように、と呼びかけています。
この解説を踏まえると、妊娠中の人はアルコール分がゼロと表示された飲み物を選ぶのが自然です。モクテルを頼むときに材料を店に聞いておくのも、その延長です。
誰と行くかで店を変える
車で行く日は、ノンアルコールの種類が多い店を選んでおくと、飲めないことが我慢になりにくいと思います。
飲む人と飲まない人が混ざるグループなら、見た目がカクテルに近いモクテルがある店が向いています。乾杯のときにグラスの雰囲気がそろうだけでも、席の空気は違ってきます。
予約のときに、飲まない人の人数を伝えておくと案内がなめらかです。ペアリングのある店なら、飲まない人向けの組み合わせを用意してもらえるかどうかもそのときに聞けます。
飲まない席で気になること
ノンアルコールビールは本当にアルコールを含みませんか
名前だけでは分かりません。酒税法では1度未満は酒類ではありませんが、それはアルコールがゼロという意味ではないので、アルコール分の表示を製品ごとに確かめてください。
アルコール1%未満なら酒ではないのですか
酒税法第2条では、アルコール分1度以上の飲料が酒類です。1度未満は酒類にあたりません。ただ、警察庁は罰則の基準値未満でも酒気を帯びて運転することは禁止だとしているので、運転する日はアルコール分がゼロのものを選ぶのが確実です。
運転する人と一緒に飲むときの注意はありますか
道路交通法第65条第3項は、酒気を帯びて運転することになるおそれがある人に酒類を提供したり飲酒をすすめたりすることを禁じています。運転する人には酒をすすめないでください。
モクテルは味に満足できますか
果物やハーブ、スパイスを組み合わせて仕上げる店もあり、満足できるかどうかは店の工夫次第です。メニューに材料が書いてあれば、そこで見当をつけられます。
予約時にノンアルコールの相談はできますか
飲まない人の人数や希望を伝えておくと、当日の案内がなめらかになります。ペアリングのある店なら、飲まない人向けの組み合わせがあるかもそのときに聞けます。
糖分が気になる場合はどうすればよいですか
果物やシロップを多く使うものは甘くなりやすいので、甘さを控えめにできるか、炭酸水で割れるかを店に相談してみてください。
飲む人と飲まない人が同じ席に座るために
店を探すときは、専用の欄があるか、種類に幅があるか、アルコール分が書いてあるかを見ておくと、ノンアルコールに力を入れている店が見つけやすくなります。
酒税法で酒類にあたらないものでも、運転する日はゼロと表示されたものを選び、同じ席の人は運転する人に酒をすすめないようにしてください。そこさえ押さえておけば、飲む人も飲まない人も同じ店で気持ちよく過ごせます。
出典
- 酒税法 第2条(e-Gov法令検索、2026年11月3日確認)
- 国税庁「お酒に関するQ&A 【総則】 Q1 酒類の定義」(2026年11月3日確認) https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/01/01.htm
- 道路交通法 第65条、道路交通法施行令 第44条の3(e-Gov法令検索、2026年11月3日確認)
- 警察庁「みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」」(酒気帯び運転の要件、令和8年7月21日施行の改正、2026年11月3日確認) https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「胎児性アルコール・スペクトラム障害」(2026年11月3日確認) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-01-015.html
つながる話
飲まない人がいる席の店選びと、場面ごとの探し方を書いた記事です。